ボルダリングジャパンカップ2021で楢崎智亜選手が使用していた最新クライミングシューズアンパラレル フラッグシップを履いてみました。
アンパラレルといえば、旧ファイブテンのノウハウを生かしたシューズ造りで話題になりました。
同ブランドのTNproも楢崎智亜選手が使用しており、去年のボルダリングジャパンカップで使用していたのもまだまだ記憶に新しいです。
TN proはとても柔らかく、フリクションが良かった反面、ジプスへの立ち込みが苦手な印象がありましたが、フラッグシップはどうでしょうか。
同じ選手が使っているということからも気になるところですね。
実際に履いてみて使用感をレビューしますので、是非参考にしてみてください。
材質
アッパー | SYNTHETIC W/O LINING(人工皮革) |
ソール | フロント RS(REAL SUPREME)ラバー 3.5mm リア RH(REAL HONOR)ラバー 4.2mm |
足型
全体的にやや太めで、特にかかとが太いです。
ターンインはやや強めではあるものの、きつくはないため足の形に左右されず履きやすいクライミングシューズです。
ソールはフロントがRS、リアがRH
ソールはフロントとリアで別のラバーを使用しています。
フロントソールはアンパラレルオリジナルラバーの中で、VDに次ぐフリクション性能のRS(REAL SUPREME)ラバー。
リアソールはRSラバーよりも1段硬いRH(REAL HONOR)ラバーを使用しています。
使用されているラバーは柔らかめで、フリクション性能は非常に高いです。
しかも、フリクション性能が高いソールはジブス等への立ち込みでソールの硬さが足りずに負けてしまう事がありますが、フラッグシップはミッドソールが硬いため、極小ホールドに立ち込んでもソールが負けることがありません。
ミッドソールはフロントソール全体に貼られているため、指先だけでなく、親指の付け根やかかとの力がつま先に伝わりやすく、体重のコントロールがしやすいです。
ダウントゥは強め
つま先側のソールの厚みは均一ではなく、先端に行くほど厚みが増しています。
シューズ自体がダウントゥである事から、強傾斜に強い形状です。
強めのダウントゥですが、ターンインがそれほど強くないので履きやすい部類に入るでしょう。
ターンインは強すぎない
ターンインは強すぎず、爪先の頂点が親指と人差し指の間に位置するちょうど良い形状です。
ハイエンドのクライミングシューズはターンインが強い物が多いですが、それらに比べると物足りないと感じるクライマーもいるかもしれません。
ただ、クライミングシューズのインサイド、アウトサイド両方使えるという点ではこのフラッグシップは有利なので、課題を選ばずオールラウンドにしようすることができます。
ヒールカップは剛性が強く、リアソールが厚め
ヒールカップは4mmもの厚さのラバーを使用しているため、剛性は非常に高いです。
どんなホールドにヒールフックをしても形状を保つ事が出来るので、高いフリクション性能を維持できます。
ただ、ラバーの厚みがあるためヒール感覚は鈍ります。
更に、ヒールフックする際、ヒールを寝かせた状態から立てる時、ヒールとホールドの接点がラバーの厚みの分だけ遠くなるので、やや力が必要になります。
本当にラバーのわずかな厚みですが、体感はかなり大きな違いです。
トゥーラバーは最も柔らかいVDラバー
トゥーラバーはアンパラレルのオリジナルラバーの中でもっとも柔らかいVD(VIRTURAL DEMPING)が使用されています。
貼られている面積も広く、凸凹としたパターンもあるのでフリクションはとても良いです。
ベルクロは1本締め
以前、アンパラレルのレオパードを使った事がありますが、ベルクロの粘着力が弱かった印象が強く、アンパラレン全体的が同じような傾向にあると思っていました。
今回紹介しているフラッグシップのベルクロは強力なとまではいかないまでも、長期間使用しても十分にベルクロとしての役割を果たしてくれる印象があります。
総合評価
アンパラレルは他のクライミングシューズのメーカーと比べると歴史も浅く、当初発売されていたシューズにはあまり良い印象がありませんでした。
しかし、最近になって洗練されていき、TN proを経てフラッグシップは他メーカーのクライミングシューズに劣らない性能をもうまでになりました。
足の形に左右されない履きやすさと、現在発揮できる最高の性能を両立させています。
唯一、ヒールラバーの厚みは慣れが必要と感じましたが、それ以外はクセがなく非常に使いやすいクライミングシューズです。