スポルティバのハイエンドクライミングシューズ「フューチュラリブート」レビュー

スポルティバの最高峰クライミングシューズ、フューチュラリブートを実際に使ってみてレビューします。

スポルティバの中では最も高級なクライミングシューズ「フューチュラ」がモデルチェンジされました。

絶大な人気を誇るこのシューズですが、試してみたいとは思っても最高峰だけになかなか手が出ないのも事実。

検討中の方は是非このレビューを参考にしてはいかがでしょうか。

材質

アッパースェードレザー&マイクロファイバー
ソールビブラムXSグリップ2
重量215g

適した

若干細めで、ベルクロを全開にした時のアッパーの高さが高めです。

また、ターンインはそれほどきつくなく、つま先の頂点は親指と人差し指の間くらいです。

細めながらも、ベルクロを最大に開いたときの容量は大きく、アッパーも柔らかいので足幅が多少広くてもアッパーが伸びてカバーできます。

ほぼ同じクラスのソリューションと比べてみると、ほんの少しボリュームが小さめなので、ソリューションを履いた事があるならばイメージしやすいかと思います。

フューチュラ上
フューチュラ上
フューチュラ右
フューチュラ右
フューチュラ左
フューチュラ左
フューチュラ縫い目

シューズの中は、フラットではなく、土踏まずなどの凹凸に合わせて作られています。

他のクライミングシューズも足に合わせて作られていますが、フューチュラは特に顕著で、足の裏に強烈にフィットします。

ソールはビブラムXSグリップ2

ソールはビブラムシリーズの中でもっとも柔らかいXSグリップ2です。

スポルティバやスカルパ等のハイエンドシューズは、ほとんどこのソールを使用していて、粘りと硬さのバランスが非常に良いソールです。

土踏まずの所でソールが切れているセパレートタイプで、つま先側と、かかと側でソールが独立していているため、土踏まずを中心に曲げることができ、柔軟性に優れています。

ミッドソールは、つま先側のソールに親指の付け根をカバーするように入っており、柔らかく高いフリクションがありながら適度な硬さも兼ね備えています。

そして、フューチュラの一番の特徴と言えばノーエッジソール

ノーエッジソールとは、通常は角張っているエッジを無くし、丸く滑らかにした形状のソールの事で、これによりホールドと壁との接地面積が増えて安定感が増します。

極小ホールドにスメッジングする時や、スメアする時は、他のクライミングシューズよりも接地面積が大きくなるので安定感は抜群です。

また、通常のソールに比べて、エッジと素足との距離が近くなることにより、力の伝達もよりダイレクトになります。

しかし、ノーエッジのデメリットもあり、爪の厚さ位の極薄のホールドには、エッジが丸い分密着しないので、逆に乗りづらくなってしまいます。

通常のクライミングシューズのソールのようにエッジがシャープに立っている方が好きというクライマーもいるので好みが分かれるところでしょう。

ノーエッジソール

上:フューチュラ 下:ソリューションコンプ

上のフューチュラと下のソリューションコンプを比べてみると、エッジが滑らかになっているのが分かります。

ダウントゥは強め

ダウントゥはかなり強めです。

スポルティバの同程度のクラスのソリューションとソリューションコンプと比べると同じ程度の強さです。

フューチュラ右
見ただけではそれほど分からないが、足を入れるとダウントゥの強さが際立つ

ソリューション等と同様にフューチュラもP3システムを採用しています。

クライミングシューズは時間の経過と共にダウントゥがフラット気味になってしまいますが、P3システムはダウントゥを保ってくれる構造のことです。

また、つま先にソールの厚みを持たせてかぎ爪のようにしているクライミングシューズが多い中、フューチュラは他のシューズよりも薄く丸みを持たせています。

つま先のソールの厚みが薄い分、ダイレクトにホールドを捉えることができ、繊細な足遣いが可能になります。

ターンインは標準的

冒頭でも紹介したとおり、ターンインはそれほど強くありません。

せいぜい親指と人差し指の間に頂点が来るくらいで、足の指の長さで足型が合わない事はないでしょう。

フューチュラターンイン

ヒールカップは両サイドの剛性が気になる

フューチュラヒールカップ後ろ

ヒールカップの太さは、太くも無く細くもなく標準的な太さです。

ヒールの頂点は、アキレス腱の位置よりも若干後ろで、かかとが小さい人はヒールカップが余ってしまうかもしれません。

かなり太めでしっかりしたラバーが貼られているので剛性は高いですが、ヒールカップ両サイドのラバーと、黄色のスリングの間の窓が若干気になります。

最新のクライミングシューズはこの窓を排除して剛性を向上させているものが多く、それらの最新のクライミングシューズに比べると若干剛性は劣るでしょう。

土踏まずから延びるランド一体型のスリングがかなり強力で、アキレス腱とかかとをしっかりホールドし、脱げる心配がありません。

フューチュラヒールカップ右
フューチュラヒールカップ左

トゥラバーは小さい

最新のクライミングシューズは、トゥラバーの面積をより大きく、凹凸を付けてフリクションを確保する傾向にありますが、それらに比べるとフューチュラのトゥラバーの面積は小さいです。

アッパーについているギザギザの模様は、ラバーではないのでトゥラバーとしての役割はありません。

シューズ外側ほどトゥラバーが小さいので、トゥフックした状態で体を捻じる様なムーブなど、繊細な動きが要求される場合は、ラバーの小ささを感じるかもしれません。

総合評価

スポルティバだけでなく、全てのクライミングシューズの中では価格も性能も最高峰のクライミングシューズをはいてみましたが、感想としてはまず「とても柔らかくてフリクションが良い」と感じました。

他のクライミングシューズや、同じクラスのソリューション等に比べて、ソールが薄くノーエッジなのでホールドを踏む感覚をダイレクトに感じることが出来たのが要因だと思います。

気になる点を挙げるならば、トゥラバーの小ささです。

大抵のムーブを起こすには十分の大きさですが、まれに出てくるトゥフックした状態での繊細なムーブには物足りなさを感じるかもしれません。

足を入れた感じはソリューションに近いですが、実際に使用してみると使用感が大きく異なり、主にホールドを踏む感覚が向上しています。

繊細な足遣いやスメアが苦手な方は、フューチュラを使用してみると、その快適さに驚くことでしょう。