得意を伸ばすより苦手を克服すべき理由

ボルダリングには様々なムーブがあり、ホールドの種類があります。

その中でも得意なムーブ、ホールド、又は逆に苦手なものもあるでしょう。

ボルダリングの分野において、得意なものと、苦手なものがあったら、得意を伸ばした方が良いのでしょうか。それとも苦手を克服した方が良いのでしょうか。

苦手なことより得意なことを伸ばした方が良いとされる分野もありますが、ボルダリングに限って言うのであれば、苦手を克服した方が絶対に良いと言えます。

今回はその理由と、それによって多くのクライマーが陥っていることについてお伝えします。

最も低い能力に引きずられる

クライマーとしての能力は、最も低い能力で評価をすることができます。

得意なムーブばかりが出てくる課題ならば完登できますが、苦手なムーブが出てきた場合、途中までは登れても結局登ることが出来ないからです。

このことは、よく鎖や桶に例えられます。

強度の高い鎖でも、1か所の輪(能力)が弱ければすぐに切れてしまうし、桶の場合は、1か所の板(能力)が短ければそこから水は漏れてしまいます。

つまり、極端に苦手なものがある場合、たとえどんなに得意な事があったとしても、実力の向上に繋がらないということになるため、能力のバランスが重要になります。

クライマーが陥りやすい悪循環

意識してか無意識かは人それぞれですが、苦手なムーブやホールドなど、苦手なものが出てくる課題は避ける傾向にあります。

苦手を避けて、得意なムーブで課題の意図を破壊して登るようなやり方も、ボルダリングはできてしまいます。

こうなると、いつまでも苦手を克服できずに苦手なままなので、完登できるグレードが上がらない、若しくは完登できる課題が得意なものばかりという限定的なものになってしまいます。

すると、

①苦手なものをいつまでもやらずに、得意なものだけをやる

②得意なものだけが上達する

③苦手と得意との差がますます大きくなる

①苦手なものをいつまでもやらずに、得意なものだけをやる

このような悪循環に陥り、いつまでも苦手を克服することが出来なくなってしまいます。

上でも説明しましたが、得意なムーブばかりで構成された課題でも、1か所だけ苦手なムーブを要求されるような課題だったら、その時点で完登できなくなってしまいます。

完登可能な課題を増やすには、苦手を克服することが近道になるでしょう。

悪循環に対処する方法

苦手とすることを、苦手のままにせずチャレンジするだけでも、悪循環への対処になる。

具体的な方法としては、まず自分が何を苦手とするのかを見つけることが大前提です。

そのうえで、

  • 苦手とすることを避けずにチャレンジする
  • 他人が作った課題にトライする
  • 想定されるムーブを破壊せず、想定どおり登る
  • ムーブを破壊して完登した場合、想定されるムーブで登り直す
  • 苦手とする課題を自分で作ってみる

このような方法があげられるでしょう。

苦手を克服するまで行かずとも、チャレンジするだけでも効果はあります。

以前に関連する記事を作成しているのでそちらも参考になるかと思います。

苦手な事は伸びしろもある

ボルダリングを始めたばかりの初心者は、得意なムーブというものがありません。

しかし、何回か定期的にボルダリングジムに通っていれば、ものすごいスピードで上達します。

初心者の上達速度というのは驚くべきもので、これを見ている方も覚えがあることだと思います。

つまり、苦手でまだまだ未熟なことは、それだけ伸びしろがあるという事。

苦手だからと敬遠せずに、チャレンジしてみると意外に早く上達するかもしれません。

最後に

ボルダリングジムに行くと、スラブが好きでずっとスラブをやっていたり、ルーフが好きでスラブは全然やらなかったりという光景をよく目にします。

実は私もスラブがあまり好きではありませんが、やってみると結構楽しいし、気づかなかった弱点に気づけたりします。

スラブを久々にやってみた時は、ほぼノーハンドで乗り込む必要がある時の体重移動と足の力が不足していることや、アウトサイドエッジが苦手なことに気づけたりしました。

このような気づきや、苦手が少しづつ改善されていくのを実感すると、より一層クライミングが楽しくなってくるはずなので、いろいろなことに是非チャレンジしてみましょう。