運動している時の呼吸ってどうしているのか自分では分かりづらいですよね。
ボルダリングの様な1トライが短いようなスポーツだと、いつ息を吸っているのか、いつ吐いているのか特に分かりづらいと思います。
ボルダリングでは考えなければいけないことが沢山あり、テクニックやトレーニングのコツに目が行きがちですが、呼吸もその一つ。
今回はボルダリングの呼吸法とコツについてお伝えします。
ボルダリング中の呼吸法
呼吸は、吸う、吐く、止めるの3つしかありません。
ボルダリング中にそれぞれがどんな役割があるのか考えてみます。
吸う
息を吸うことで、肺に空気を送り込み、肺から酸素を体に送り出すというのは良く知られていることです。
しかし、体に酸素が不足しているというケースは滅多になく、ほとんどの場合、体に酸素は満ちている状態です。
ボルダリング中も例外ではなく、それほど体が酸素を必要としているわけではありません。
ではなぜ息を「吸う」のでしょうか。
もちろん酸素を取り込むためでもありますが、重要なのは息を「吐く」ことです。
体中の細胞は血液から酸素を受け取ると、今度は二酸化炭素を血液に渡します。
血液は二酸化炭素を持って肺に集まり、そこから呼吸に乗せて二酸化炭素を体外に排出します。
この時に必要なのが空気ですが、吐くための空気が必要なので、それを吸うのです。
吐く
息を吐くことで、体の二酸化炭素を体外へ排出しますが、ボルダリング中に有用な効果はそれだけではありません。
息を吐くとお腹の周りが収縮して力が入っているのが分かると思います。
お腹周りに力が入るということは、ボディが安定してムーブも成功しやすくなるという事に繋がります。
また、息を吐くことで瞬間的に大きな力を出すことが可能です。
力を出すためには一度筋肉を緩めてから緊張させる必要があり、筋肉をずっと緊張させたまま運動することはできない事は、知っている方もいるかもしれません。
つまり、一度息を吸いリラックスしてから、「フッ」と勢いよく息を吐くことで瞬間的に大きな力を出すことが出来ます。
止める
息を止めることは「無酸素運動」といって最も大きな力を出すことが出来るため、重量挙げなど、極めて短時間で大きな力を必要とするスポーツでは使用される呼吸法です。
ボルダリングにおいても有効になる場合がある呼吸法ですが、基本的に息を止める事は避けた方が良いでしょう。
理由として、当然息を止めるので疲労がたまり、課題の終盤にスタミナを使い切ってしまうからです。
最後の1手や課題の核心など、ここぞという場面以外は息を止めない方が良いでしょう。
腹式呼吸
空気を吸って肺が膨らんだ分、肩が上るか、お腹が膨らみます。
肩が上がる呼吸を胸式呼吸、お腹が膨らむ方を腹式呼吸と呼びます。
この2つを比べると腹式呼吸の方が優れていて、メリットは
- 多くの空気を吸うことができる
- 肩が上がらないのでフォームがくずれない
- ボディを意識する力を入れやすい
ということが挙げられます。
腹式呼吸は、肺の下にある横隔膜が上下することによって空気を出し入れするので、肺を下に広げるイメージで呼吸するのがコツです。
日常生活でもスポーツする時も、腹式呼吸の方が多くのメリットがある事が分かっているため、腹式呼吸を意識してみましょう。
口呼吸と鼻呼吸
口呼吸と鼻呼吸を比べると、口呼吸の方が多く空気を取り込めると思っていましたが、実は鼻呼吸の方が取り込める酸素の方が多いそうです。
他にも、
- 吸い込む空気が温まる
- 腹式呼吸をしやすい
といった利点があり、ボルダリングとは直接関係ありませんが、
- 鼻の粘膜や毛で細菌を除去できる
- 食欲が減る
- 口が乾燥しないので、細菌が増えにくい
等、メリットしかありませんので、鼻呼吸をする方が良いです。
ただし、力を入れるために「フッ!」と勢いよく息を吐きたい時は、口から吐いた方が良いので、無意識にこの呼吸ができるようにしましょう。
ボルダリング中の呼吸法
ここまでの説明から、ボルダリングに適した呼吸法とは
- 基本的には鼻呼吸をする
- 力を出すときには口から「フッ」と勢いよく息を吐く
- 腹式呼吸をする
- 息を止める事は最も大きな力を出せるが、この方法は終盤のスタミナ切れを引き起こすため最終手段
であることが分かります。
最後に
日常生活をする上で、呼吸を意識することはほとんどないと思います。
それだけに、スポーツする時も呼吸法について疑問をもつことは少ないかもしれません。
しかし、重量挙げや長距離走を比べると呼吸の方法は全く違うので、それがどれだけ大切か分かると思います。
呼吸法によって結果に雲泥の差が出ることもあるので、呼吸法の大切さを認識して、正しい呼吸を身につけましょう。
今回参考にしたのはこちらのクライマーズバイブル。
クライミングに関する理論や、平山ユージ、小山田大、野口啓代などのトップクライマーのインタビュー等が乗っていて非常に参考になりました。