ボルダリングの瞬発系トレーニング「ビルドアップ」

前回の記事は、ボルダリングに必要な能力「回復系」「持久系」「瞬発系」について解説しました。

回復系は、レストや休憩の時に疲労を回復させる能力

持久系は、長い課題や連続して課題を登りきる能力

瞬発系は、強度が非常に高い課題を登りきる爆発力

をそれぞれ指します。

今回は、その中でもボルダリングで特に比重が高い瞬発系のトレーニングについて解説します。

それぞれについて詳しくは前回の記事をご覧ください。

瞬発系能力とは

ランジやコーディネーション、手数が短い代わりに強度の高いムーブを要求されるボルダリングなど、爆発的な力を一瞬で発揮する能力の事です。

強度が高いムーブが連続する課題を登りきる能力でもあり、一瞬から課題を登る数十秒の間に力を出し切ることが重要になります。

ビルドアップトレーニングで持久系能力も向上する

これから紹介するビルドアップトレーニングは、最大筋力ではなく、限界の数歩手前から限界手前程度の課題を連続して行うサーキットトレーニングです。

そのため、瞬発系だけでなく持久系能力も向上します。

トレーニングを始める前に

ビルドアップトレーニングに限らず、他のトレーニングをする前に、まずフォームの確認をした方が良いでしょう。

間違ったフォームでトレーニングをしても、間違ったフォームの名人になるだけ。

マイケル・ジョーダン

間違ったフォームでトレーニングをしても、本来の効果を得ることはできません。

ベテランのクライマーも変な癖が身に付いてしまっている可能性がありますので、初心者、ベテラン関係なく今一度正しいフォームを確認してみましょう。

ビルドアップトレーニングの方法

最大負荷の70%~90%の負荷で、10手前後の課題をセットに分けて登り続けるサーキットトレーニングです。

最大負荷の100%を使うマックスパワートレーニングの準備段階のトレーニングという位置づけです。

負荷の強さ

最大負荷の70%~90%の範囲で行います。

クライマーの習性で、ついつい限界ギリギリの課題にトライしてしまいがちですが、目的から外れてしまいますので、グレードが上がらないよう冷静にトレーニングしましょう。

選定する課題

10手前後の課題を選びます。

ランジの1手ものの課題や、ルートクライミングの様な長い課題は目的に合いません。

あくまで、サーキットトレーニングが目的なので適した課題を選びましょう。

セット数

このトレーニングを始めたばかりの期間は、強度を落として1セットの課題を多くし、少しずつ慣らしながら徐々に強度を上げてる方が良いでしょう。

慣れていくにつれて、強度は高くし、1セットの本数とセット数を少なくして、全力のギリギリの強度でトレーニングを行います。

トレーニングする男性

休憩

セットとセットの間の休憩は、30秒から3分とかなり短めで、セットの中の休憩はなく、連続して課題を登ります。

かなりきついトレーニングになるので、きちんとレスト日を挟んで週に3日より多くならないようにしましょう。

ビルドアップトレーニングの例

かなりきついトレーニングになるので、長期間続けるのはオススメできません。

1か月から長くても2か月までにしましょう。

その中で、最初はグレードを低く設定して課題を多く設定します。

慣れてきたらグレードを限界ギリギリまで上げて課題を少なくして、全力に近い形でトレーニングを行うようにすると無理がありません。

注意点

課題を連続して行う上、休憩も非常に少ないトレーニングになります。

そのため、集中力が途切れやすくフォームやムーブが雑になりがちなので、丁寧にゆっくりめに行うように心がけます。

指に大きな負担がかかるカチや、両手を左右に大きく開くような肩に負担がかかるムーブは故障の原因にもなりかねません。

その様な課題は少なめに設定した方が良いでしょう。

他にも、混雑しているジムで連続して課題を行うこと自体難しいので、一度登ったらすぐに他の壁に移動してまた登る、の繰り返しがおすすめです。

最後に

このトレーニングを行うと、最後には体力は限界でふらふらになるほど疲れます。

ボルダリングを楽しむというより、まさにトレーニングといった感じで、楽しいよりも辛いと感じることの方が多いと思います。

なので、適度にレスト日を挟みながらトレーニングを行い、義務感でボルダリングをすることの無いように注意しましょう。

このビルドアップトレーニングの前段階の回復系を向上させるトレーニングはこちら。