今回は、普段のクライミングのトレーニングとは一味違うトレーニング方法「ローカルエンデュランスクライミング」のご紹介です。
回復系トレーニングとも呼ばれるこちらのトレーニング方法は、故障明けや長期間クライミングから離れていた場合に、体を元のコンディションに戻す際に非常に効果的です。
ローカルエンデュランスとは
ローカルエンデュランスクライミングとは、低負荷で長い時間休みなく登り続けるトレーニング方法です。
冒頭でも説明しましたが、故障明けや長期間クライミングが出来なかった場合に、体のコンディションを元の状態に戻す場合に非常に効果的なので、「回復系トレーニング」とも呼ばれます。
最大筋力の20%から30%程度の軽い強度で30分以上休みなく登り続けるトレーニング方法で、ゆっくりムーブを確かめながら行います。
このトレーニングによって得られる効果
このトレーニングは、弱い負荷を長時間筋肉に与えることで、毛細血管を発達させる効果があります。
毛細血管が発達すると、密度が向上して筋肉に送り届ける酸素や受け取る疲労物質の交換が頻繁に行われるようになります。
クライミングのトライ中も、血流が増えた事により疲労しにくく、より積極的にクライミングに打ち込むことが出来るため上達の速度が加速します。
また、瞬発力や持久力を要求されるようなクライミングの時に、十分に実力を発揮できる土台を作ることにもつながり、故障も起こしにくくなります。
故障明けや長期間クライミングが出来なかった時に有効なトレーニング方法であると説明しましたが、その理由は血管を発達させて筋肉の回復能力を発達させながら、今後の激しいトレーニングに耐えることができる土台をつくることが出来るためです。
具体的なトレーニング方法
負荷の強さ
最大筋力の20%から30%の範囲で行います。
オンサイト出来るグレードの4つ下くらいの強度で丁度良いでしょう。
焼け付くような疲労感を感じてパンプするようだと、強度が強いので、更にグレードを落として行いましょう。
トレーニングの時間
最低で20分行います。
有酸素運動は毛細血管を発達させる効果がありますが、20分からその効果を得ることが出来ます。
出来れば30分を2本か45分を1本が理想です。
セット間の休憩は30分程度と長くとり、完全にフレッシュな状態で行いましょう。
頻度
負荷が引くく、毛細血管を発達させて回復力を向上させるトレーニングとなり、今後の激しいトレーニングに向けた土台をつくることを目的としているため、頻度は多いです。
ローカルエンデュランスを行う期間は2週間から1カ月を目標に設定します。
その後はより強度の高いトレーニングに移行することになります。
週に4回以上行い、回復力の土台が出来てきたら週に1回から2回に減らして、他のトレーニングと並行して行うことが理想です。
ローカルエンデュランスの注意点
非常に低い負荷で疲労を蓄積させないように登り続けることが目的のトレーニングになります。
しかし、どうしても途中から強度が高くなってしまいがちになり、パンプしてしまうので、筋力向上が目的ではなく回復力の向上が目的であることを忘れないようにしましょう。
登る場所の確保
混雑している時はクライミングジムで登る場所を確保することが困難になります。
その場合は、やさしい課題をゆっくり登ってクライムダウンしてくるというもの。
降りてきたら、また別の壁に移動して同じことを繰り返します。
壁に移動する時間はなるべく短くした方がいいですが、周囲の迷惑にならないようにしましょう。
これとは別に、30手程度の長めの課題を用意しているジムもあるので、このような課題にトライしてもよいですが、その中にも核心の様な難易度が高い場所があるのでパンプしないようにしましょう。
最後に
ローカルエンデュランストレーニングはあまり聞きなれないトレーニングの方法ですが、実はかなり昔から行われてきたトレーニング方法です。
30分壁に取りつく必要があるのですが、最初の5分くらいを過ぎるとだんだんと楽になるのが分かると思います。
このトレーニングを続けていくと、だんだん体が軽くなっていくのが分かると思います。
この記事を執筆中はまさにコロナショックの真っ最中で、クライミングできないクライマーの方が沢山いると思いますので、クライミングできるようになった時に試して欲しいトレーニング方法です。