ボルダリングの正しいフォーム③「ホールディングの意識と上半身の連動」

今回は、ボルダリングの正しいフォームも全3回の最後の記事になります。

ボルダリングの正しいフォーム①と②で、足の使い方と、下半身の連動について解説しました。

今回は下半身で生み出した力を、上半身に伝えて上手に使うためのフォームについて解説していきます。

この記事は「ボルダリングの正しいフォーム①と②」が前提となっていますので、まずそちらをお読みください。

指を揃えたホールディング

ホールドの種類は沢山あり、それに合わせてホールディングの方法も、クリンプやピンチなど様々な方法があります。

中級者位になってくると、ホールドを見ればピンチなのかクリンプなのか、どのように保持したら最も保持しやすいかすぐに分かるでしょう。

クリンプでもピンチでもホールディングのコツと言えば、指先を揃える事というのが常識で、すでに知っている方も無意識に行っている方もいるでしょう。

人の体というのは、体の中心に近づくほど力を入れやすくなります。

例えば重いものを持つ時に、体の近くだと持ちやすく遠いと持ちにくいです。

ホールディングも同じで、腕の中心線に指を寄せてひと固まりにして保持する方が力を込めやすいのです。

指を揃えて保持する

4本の指を揃えてひと固まりにして、腕の中心線に揃えることで、力を込めやすくなる。

ごく一部のホールドを除いて、指先を揃えた方が保持しやすい場合が90%以上を占めているので、まずは指先を揃えて保持できているかをチェックしてみましょう。

手のひらを使ったホールディング

指先を揃えるホールディングに加えて、手のひらを使ったホールディングについて説明しましょう。

その方法は、親指の付け根を内側に寄せて丸めて、ホールドを包み込むように保持することです。

普段のクライミングを思い出してみると、ホールドを保持する時に意外と親指と人差し指の間にある筋肉は使えていない事に気づくでしょう。

今まで使わなかった筋肉を使用することによる保持力の向上だけでなく、親指が腕の中心線により近いところで保持することが出来るため、力も込めやすくなるはずです。

特に分かりやすいのがピンチ持ちした時で、何も考えずに保持した時よりもかなり保持しやすくなります。

親指を使わないホールディングの時も、こうする事で他の指に力を込めやすくなるので、意識して手のひらも使うようにしましょう。

脇を意識して締める

まず、脇を締める事による利点は

  • 小指に力を込めやすくなる。
  • 小指を使うことでボディに力を込めやすくなる。
  • 肘と肩が下がりボディが上に上がる。

この3点にあります。

小指に力を込めやすくなる

脇を締めると肘が下に移動し、一緒に小指が内側を向くのが分かると思います。

クライミング中はこの動きが小指からホールドに力を伝えることになり、保持しやすくなります。

小指を使った保持

ボディに力を込めやすくなる

小指を動かして、反対の手を脇に当ててみると、脇の筋肉が動いているのが分かります。

つまり、小指とボディの筋肉は繋がっているため、小指に力を入れやすくなるという事は、ボディにも力を入れやすくなるという事になります。

脇を締めることと小指の関係については過去の記事にも詳しく載っています。

肘と肩が下がりボディが上に上がる

脇を締めると、肩と肘が下がりボディが脇の筋肉に押し上げられて上に上がるのが分かります。

この動きを下半身の動きと連動させれば、より容易に体を上に押し上げることが出来ます。

下半身と上半身の動きを連動させる

前回と前々回の記事「ボルダリングの正しいフォーム①と②」で解説した下半身の動きを上半身の動きと連動させることにより、ボディを使った楽なクライミングの動きが完成します。

注意すべきポイントは以下のとおり

  1. 腰の三角形の形を崩さない。
  2. 足の動きに上半身がつられず、腰の三角形が崩れない。
  3. 足とクライミングシューズのアーチを利用して推進量を得る。
  4. 足で生み出した力が体の後ろを通って上半身に伝わるのを意識する。
  5. 指を揃えて親指の付け根を意識したホールディングを意識する。
  6. 脇を締めて小指に力を込めやすくして、脇の筋肉が上半身を押し上げるのを意識する。

これら全てが出来ていれば、基本のフォームが完成と言ってよいでしょう。

説明しやすいように、上のイラストの様な壁に正対するムーブを例にしましたが、体の側面を壁に向けるムーブやランジ、フラッギング等のムーブにも同じことが言えます。

最後に

3回に分けて基本となるボルダリングのフォームについて解説してきました。

ムーブについての理解はあっても、それ以前のフォームについて意外と意識できていないことがあったと思います。

限界グレードに挑戦するのも良いですが、そればかりだと故障の原因にもなりかねません。

トップクライマーは高グレード帯だけでなく、サーキットトレーニングの様にグレードを下げてフォームを確認したりする時間を設けていますので、そのような時間を作ってフォームをチェックしてみましょう。