初心者から脱出するために「オブザベーション」のススメ

皆さんは「オブザベーション」略して「オブザベ」をきちんとしているでしょうか。

ボルダリングジムだと何度落ちてもいいし、とりあえず課題を触ってからムーブを考えるという方もいるかもしれません。

その方法でも全くトレーニングにならないわけではないですし、常に緊張感をもってボルダリングするのも息がつまります。

それでも、オンサイト(初めて見た課題をヒントなし、他人のトライを見るのもなしで一撃すること)は気持ちがいいですし、何より観察力が身に付きます。

今回はボルダリングにおいて、フィジカルともう一つの側面「どうやって登るか」オブザベーションについて解説します。

初心者脱出に必須「オブザベーション」

オブザベーション又はオブザベという言葉を聞いた事があるでしょうか。

オブザベーション「observation」とは「観察」という意味です。

初心者で良くあるのが、ホールドの配置を覚えるだけで、とりあえず触ってみてから、どんな課題なのかを判断することです。

ホールドの配置を覚えるだけではオブザベーションとは言えません。

真のオブザベーションとは、ホールドの向きや保持しやすそうな箇所、持ち方、微細な模様等を「観察」しムーブを推測することです。

オブザベーションの重要性

オブザベーションしなくても、とりあえず課題を触ればどんなホールドなのか、どんなムーブが必要なのかが分かることもあります。

しかし、とりあえず触った1トライの分、じっくりオブザベーションしたとしたらどうでしょうか。

体力の温存になる

ボルダリングは1日にいくつもの課題にトライすることあるため、その度にとりあえず触っていては体力の無駄遣いになってしまいます。

とりあえず触った分のトライを温存して、他の課題にトライ出来れば質の良いトレーニングになるはずです。

課題をクリアできるスピードが上がる

当然の事ですが、課題をよく観察している分、ムーブの予測がつき課題をクリアできるスピードが速くなります。

1つ、2つの課題であればその効果は微々たるものですが、それが10、20の課題、1年、2年と続いたら効果は絶大で、グレードが上がるかもしれません

外岩ボルダリングの練習になる

外岩はボルダリングジムのように、使用するホールドが分かりやすくありません。

岩の表面をじっくり観察して、細かな突起や割れ目を探し出してホールドとして使用します。

ボルダリングジムでオブザベーション出来なければ、外岩で出来るはずがありません。

オンサイトできる

上でも説明しましたが、オンサイトとは、始めてみる課題をヒントなし(他人のトライを見るのもなし)で一撃することです。

ボルダリングでは最も評価が高いクリアの方法です。

オブザベーションがしっかりできなければ、一撃はもちろんオンサイトもできるはずがありません。

オブザベーションで見るべきポイント

オブザベーションでは、ホールドの配置だけでなく、ホールドの形や向き、保持しやすいポイントを観察します。
こちらで、その例をいくつか解説します。

まずはこちらのホールド。
ラグビーボールくらいの大きさのホールドで、表面に筋がいくつもあります。
どうしたら保持しやすいでしょうか。


左手で保持

左手で保持する場合はこのように保持すると良いでしょう。

このホールドは左側よりも右側の方が細くてピンチ持ちするのに丁度良い太さで、親指を入れやすい隙間もあります。


右手で保持するとしたら

右手で保持

右手で保持する場合は、左側を保持するよりも、右側をラップ持ちする方が握り込みやすいので、こちらの方が保持しやすいです。


こちらのホールドは足を乗せるための5センチくらいの小さなホールドです。

小さなホールドですが、どこに足を乗せたらよいでしょう。

このホールドは薄く、よく見ると窪みがいくつもあるのが分かります。

何も考えずに足を乗せるよりも、つま先を窪みにねじ込んだほうが、より安定して足を置くことが出来ます。

手が悪く、足が頼りの課題はこのような細かいポイントが成否を分けることもあります。


こちらのホールドはラグビーボールくらいの大きさで、上の面は平らで指をかける溝はありません。
そして、表面には凹凸の模様があります。

5本の指を全て揃えて上から保持する方法もありますが、親指を溝に添えるとより安定感が増します。

スローパーの様なホールドですが、ピンチ持ちに近い形で保持することが出来ます。


次は、こちらの3つのホールドを使って保持する時は、どうしたら保持しやすいでしょう。壁は140度くらいの強傾斜です。

考えられる方法としては、下の2つのどちらかですが、どちらの方が楽に保持できるか分かるでしょうか。

違いは右手の保持の方法だけで、左の写真は順手で、右の写真はガストンです。

正解は右の写真の方法が楽に保持できます。

逆に左の写真はかなり無理をして保持しています。

赤い矢印は、加重の方向を示しています。

右手で保持しているホールドは、平たく縦に取り付けられていて非常に保持しにくいです。

このホールドを左側のようにピンチ持ちしようとすると、ホールドに体重を預けることができずに、指の保持力だけが頼りになります。

しかし右側のようにガストン持ちすれば、体重をホールドに預けることができるのでかなり楽になります。

最後に

今回は初歩的なホールドの保持の方法について解説しました。

実際はこれに加えて「ムーブ」という動きがでてくるため、今回説明した保持の方法以外の使い方も出てくるかもしれません。

しかし、一つ一つのホールドの観察も絶対に欠かすことのできないポイントの一つで、上級者ほど入念にオブザベーションしています。

初心者を脱出したいのであれば絶対にクセにした方がよいでしょう。