ボルダリングしている時のトライに挟む休憩や、数日間休息することをボルダリングではレストと呼びますが、このレストをただの休息にするか、意味のある休息にするかで、1年後の実力に差が出ます。
せっかく休息するなら、次回にボルダリングジムに行ったときにパフォーマンスを発揮できるような方法で休息をとるようにしましょう。
今回は、トライの合間にするレストと、ジムに行かずに体を休めるレストについてお伝えします。
休息の重要性
ボルダリングは、心技体全ての要素がまんべんなく要求されるスポーツです。
その中で体、つまりフィジカルについては自宅でトレーニングなどをしている方もいるかと思います。
しかし、トレーニングは毎日行えば強くなるというものではなく、筋肉を休めて回復させる休養が欠かすことが出来ません。
ボルダリングやトレーニングによってダメージを受けた筋肉は、傷つき疲労しています。
その後、48時間から72時間休息することで損傷した筋肉が修復され、以前より強い力を出すことが出来るようになります。
毎日、ボルダリングをしたりトレーニングをすることは、体へ疲労を蓄積させるばかりか、怪我の原因にもなるので適切な休養が必ず必要になります。
ボルダリングの頻度
ボルダリングやトレーニングをしたら休養が絶対に欠かせません。
人によってどの程度休養をするのかは異なりますが、高齢の方やトレーニングに慣れていない方は時間がかかる傾向にあるようです。
しかし、若くてトレーニングに慣れていても、2日続けてボルダリングを行う事は疲労が蓄積するばかりで、中途半端なものになるうえ体の回復も見込めないので、強くならないばかりか、次回のパフォーマンスも落ちる可能性があります。
2日続けてボルダリングをするのであれば、軽い課題でフォームの確認やスラブをノーハンドでトライしてみる等、疲労が蓄積しない方法で行うべきです。
ボルダリングしていない時のレスト
ボルダリングの後やトレーニング後の効果的なレストの方法について解説します。
クールダウン
ボルダリングの後やトレーニングの後はクールダウンを必ず行いましょう。
伸縮を繰り返した筋肉は緊張状態にあり、そのまま放っておくと硬くなってしまいます。
ストレッチをするなどして伸ばしながら息を整えて、筋肉の緊張を取り除く必要があります。
入浴・マッサージ
出来れば手指をアイシングして炎症を抑えてから入浴とマッサージをするのが効果的です。
アイシングをせずに体を温めると、酷使した指の炎症が悪化してしまいます。
アイシングには炎症を抑える効果があり、その後で温めたりマッサージをすることで、血流を良くして回復を早めることができます。
食事
体の修復にはタンパク質と糖質が欠かせません。
ボルダリングとトレーニングの後はできるだけ早く食事をして、栄養を補給するようにしましょう。
また、運動前にタンパク質を摂取することも重要です。
運動すると筋肉がエネルギーとして分解されてしまいますが、運動前にタンパク質を摂取しておくことで、これを防ぐことが出来ます。
寝ている間に筋肉の修復でタンパク質が消費されているため、起床後に摂取するのもオススメです。
睡眠
損傷した体の修復は睡眠中に行われます。
睡眠時間が少ないと、修復に使われるはずだった栄養の行き場がなくなり太りやすくなります。
疲労を取るという観点からも睡眠は十分に取るようにしましょう。
ストレッチ
ボルダリングやトレーニングの前には動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ)、後には静的ストレッチ(スタティックストレッチ)が効果的です。
動的ストレッチとは、ラジオ体操のように体を動かしながら行うストレッチで、体を温めながらストレッチするので、運動前のウォーミングアップとして効果があります。
静的ストレッチとは、床に座ってじんわり体を伸ばすストレッチの事で、時間をかけてゆっくり行うので、運動後に行うのに適してします。
運動の前に静的ストレッチをしてしまうと、ストレッチによって伸び切った筋肉や腱が激しい運動に耐え切れず損傷してしまう事になりかねません。
体を柔らかくすることは、ムーブの幅を広げることや、正しいフォームを身に付けるために絶対に必要な要素なので、念入りにストレッチを行うようにしましょう。
ストレッチは入浴後や就寝前後にも効果的です。
アクティブレスト
アクティブレストとは、負荷の軽い運動の事です。
ボルダリングやトレーニングをしないオフの時に、軽いジョギングや水泳など、体に負荷が大きくかからない運動のことで、疲労物質を早期に除去して体を回復を早める効果があります。
間違ってもトレーニングにならない範囲で行うようにしてください。
ボルダリングのトライの合間のレスト
アクティブレスト
コンペ中の次のトライを待つ間や、休憩中などに行うレストのことで、何もせず体を冷やすより、軽い運動をして血流を促進させ疲労物質の除去を促します。
こうすることで、回復が加速するうえ、体が冷えないので次のトライにも影響します。
ウォーミングアップでするような運動や、ダイナミックストレッチ、低グレードの課題をすることも効果的です。
栄養補給
運動には当然ながらエネルギーが必要です。
運動で消費されるエネルギーは、体に蓄えられたグリコーゲンという物質を消費することによって作られます。
このグリコーゲンを使い切った場合、脂肪や筋肉が消費されてエネルギーが作られるのですが、この場合すぐにエネルギーとして使うことが出来ません。
そのため、消化が良くてすぐにエネルギーになる様なものを補給した方がよいです。
バナナ等の固形物は消化に時間がかかるうえ、消化するためにエネルギーを使うので、運動中の栄養補給にはオススメしません。
消化の良いゼリー系のもので栄養補給した方が良いでしょう。
水分補給
水分を一度に大量に摂取すると、体に負担がかかり疲れを感じることがあります。
また、必要以上に摂取すると汗として放出されて手がぬめることがあるので少しずつ補給しましょう。
最後に
ボルダリングにおいて、フィジカルはトレーニングだけでは強くなることが出来ません。
トレーニングの後に適切な休息をとることで、強くなることが出来ます。
連続してジムに行くことはトレーニングに集中して取り組むことが出来ないので、1日目で力を出し切ってトレーニングするようにしましょう。