クライミングシューズの摩擦についての考察

先日、スラブを登ってて思った。

ホールドに乗る時、爪先立ちの方がいいのか、ベタ足の方がいいのか、どちらだろう?

つまるところ、爪先立ちと、ベタ足はどちらの方がよりホールドとの間に摩擦が生まれるか?

ということで、今回はボルダリングにおける摩擦について調べてみました。

はじめに

初心者もベテランも、その辺はあまり気にせずに登っているようで、自分自身もそれほど気にしたことがありません。

初心者はそもそも足の置き方がわからず、ベテランは経験で登るから深くは考えない。

自分自身はと言うと、なんとなく爪先で立った方が良いと経験で分かってはいるものの、なぜか?本当にそうなのか?というところはわかりません。

今回は摩擦という観点から、科学的に足の置き方を考察していきます。

摩擦と動摩擦

摩擦とは、固体表面が互いに接しているとき、それらの間に相対運動を妨げる力がはたらく現象。

ボルダリングで言うと、ホールドから脚が滑りそうになる時、それとは逆方向に働く力をいいます。

中学で習いましたが、摩擦力を求める計算式は

μを摩擦係数、Pを加重とすると、摩擦力Fは以下のようにあらわすことが出来ます。

F = μP

摩擦係数とは者の滑りやすさの事です。

ちなみに中学で習った摩擦係数には2種類あります。

静摩擦係数

動摩擦係数

この2種類で、静摩擦係は静止している時、動摩擦係数はすでに滑り落ちている時の摩擦です。

動摩擦は静摩擦よりも小さいため、一度滑り始めるとなかなか止まりません。

摩擦力に重さは関係ない

摩擦力を算出する式がF = μPであることは説明しました。

重さが大きくなれば摩擦力も大きくなり、軽くなれば摩擦力も小さくなります。

つまり軽ければ摩擦も弱く、重ければ摩擦も強いので、体重の重さによってボルダリングの不利、有利は変わらないわけです。

摩擦力に面積は関係ない

さらに、この式F = μPには面に接する面積も関係ない事を示しています。

つまり、この式から言えば、ボルダリングで爪先立ちしてもベタ足しても結果は同じであることが言えます。

ゴムの場合は法則が当てはまらない

これまでの説明で、摩擦力と重さ、接地面積は関係ないと解説してきましたが、ゴムのように弾性の物体の場合はこの法則が当てはまらないことが分かっています。

具体的には

荷重が7倍になると摩擦力が半分になる

という事が分かっています。

このことから分かるように、ボルダリングの場合は体重が軽い方が、1kg当たりの摩擦力は大きくなります。

面積については、接地面積が多い方が摩擦も大きくなるという説もありますが、その逆の説もあり、調べてみましたが良く分かりませんでした。

結論

今回調べてみて分かったことは、体重が軽い方が体重1kg当たりの摩擦力は大きくなるということ。

とはいえ、体重が重い人は背も高くリーチも長いので体重が軽い方が絶対に良いとは言えません。

接地面積の事は分かりませんでした。

私個人的には、実際にボルダリングの時は、クライミングシューズとホールドの接地面積といううより、つま先でホールドの溝に密着させるように意識しています。

私自身の経験からも接地面積の事は良く分からなかったので接地面積については、更に調べてみる事にします。