グレードと初心者が上達するための指標

日本でグレードといえば級、段というグレードが一般的ですが、ルートクライミングや海外になるとその呼び方も様々です。

今回は、ボルダリングやルート、海外とのグレードの違いと、初心者が指標とするグレードについてお伝えします。

種目や地域ごとのグレードの違い

日本のボルダリングジムでは5級、6級や初段等、級や段で難易度を表示することが多いです。

また、ロープで安全確保しながら登るルートクライミングでは表示の方法が異なり、地域ごとでも異なります。

概ね日本で最もポピュラーな級段グレードを換算すると、このような表になります。

クライミングする男性

グレードはあくまで目安として考える

クライミングには、紹介したような段や級といったグレードがありますが、英語検定や漢字検定などのように公式の検定試験などがなく、課題を作成した人がその人の感覚でグレードをつけています。

そのため、同じグレードでもジムごとや岩場ごとで難易度に大きな差が生まれてしまいます。

あるジムで1級が登れていたのに、他のジムに行くといつものジムよりも難しく3級までしか登れなかったという事は良くある事で、無力感を感じて自信を無くしてしまうこともあります。

このような事態を避けるために、同じグレード表記でも難易度にばらつきをもたせたり、1つのグレードの幅を広く取ってグレードの表記を少なくする等、グレードにとらわれない工夫をするジムもあります。

このようにグレードばかりにこだわると、自信を無くしてしまう事にもなるので、グレードはあくまで目安程度に考えるようにしましょう。

目標としてのグレード

グレードはあくまで目安とするようにと説明しましたが、あるグレードの課題を完登する事を目標に設定することは決して悪いことではありません。

危険なのは、目標を達成して慢心してしまうことです。

縦軸がポジティブなのかネガティブなのか、横軸は時間とすると、このように分けることが出来ます。

謙虚とは、過去に対してネガティブであるという事です。

過去の実績をひけらかすのではなく、反省点を見つけて改善することが出来ます。

卑屈とは、未来に対してネガティブであることです。

どうせ自分は何をやっても、と未来の可能性を自ら狭めてチャレンジせずに諦めてしまいます。

慢心は過去に対してポジティブであること。

自分が今までにどんな凄いことをしてきたのか、過去の実績をひけらかして自信過剰になり、過去の過ちに気づかず改善しようとする努力を怠ってしまいます。

自信は、未来に対してポジティブであること。

過去の自分の実績とは無関係に、自分の可能性を信じて行動することができます。

慢心と自信、謙虚と卑屈、それぞれの違いは紙一重ですが、どちらが良いのかは明白でしょう。

グレードを目標とすることで、それに向けて行動することができ、やるべきことも見えてきます。

危険なのは、目標を達成した時に慢心して達成したことに囚われてしまうこと。

目標を達成したが、反省点はなかったかを省みて、なおかつ自信をつけて次の目標への進むための活力とすることが、正しい目標の立て方です。

ボルダリングする女性

初心者が目指すべきグレード

体力にある程度自身があれば、力づくである程度のグレードは完登出来てしまうでしょう。

ジムによって同じグレードでも差はあるでしょうが、初めてでも4級や3級くらいは出来てしまうかもしれません。

4級、3級となるとボルダリングの中級者がトライするようなグレードですが、このクライマーは中級者と言えるでしょうか。

ボルダリングを始めたその日に初心者からいきなり中級者になれるほど、ボルダリングは甘いスポーツではなく、間違いなく課題の難易度が表記されているグレードよりも優しいと言えます。

グレードだけを目標とすることは先に説明したように慢心を招くことになるため、トライするグレードにふさわしいムーブで完登することを目標とする必要があります。

正しいムーブを身に付けるには、ムーブにも気を配れるような課題、つまり、強度がそれほど高くない課題でムーブを繰り返し練習すると、悪い癖を付けることがありません。

グレードを上げる事だけでなく、正しいムーブを習得することも目標にしましょう。

最後に

クライマーは何かとグレードを気にしがちですが、グレードを上げる事だけにとらわれるのは得策ではありません。

もちろん、世界中の高難度課題を完登する事に生きがいを見出すトップクライマーもいますが、多くのクライマーにとってグレードだけがすべてではありません。

目標とするグレードの課題を完登したとしても、自分が本当にそのグレードにふさわしいクライマーであるのか謙虚さを持つ必要があるでしょう。