オリンピックまであと僅かにも関わらず、スポーツクライミングはオリンピック日本代表選手の選考基準をめぐって混乱が続いています。
この状況について、様々な情報があり分かりずらいので、ここで分かりやすく解説します。
簡単に説明すると
オリンピックには男女2名ずつ出場可能で、選考方法は
世界選手権(2020年8月/八王子)で男女1名ずつ選出
した後
いくつかの大会を通じて残りの男女1名ずつを選出する
はずでした。
しかし、 国際スポーツクライミング連盟(IFSC)が突然
世界選手権で男女2名ずつ選出する
と選考基準を変えてきたことから、混乱が生じています。
この選考基準の変更がされたタイミングも最悪で、世界選手権で男女1名ずつが選出された後の変更でした。
1名ずつしか選出されないはずの世界選手権ですべての枠が埋まってしまい、最後の2枠を狙っていた選手のオリンピック出場の道が突然断たれてしまったことになります。
当初のオリンピック選考基準
当初国際スポーツクライミング連盟(IFSC)が発表したオリンピック日本代表選手は男女2名ずつ計4名。
その4名の選出のため、以下の大会が用意されていました。
(1)世界選手権
(2019年8月/東京・八王子)
(2)オリンピック予選大会
(2019年11月/フランス・トゥールーズ)
(3)アジア選手権
(2020年4月/岩手・盛岡)
※2/28現在コロナウィルス拡大防止の為延期・開催時期未定
(4)第3回コンバインドジャパンカップ
(2020年5月16日~17日/開催地未定)
4名中最初の男女1名ずつの選考方法
上記(1)の世界選手権で上位7位に入った選手の内、最上位の男女1名ずつ計2名(優先選考選手)がオリンピック日本代表に内定します。
7位以内に日本人選手がいない時はいろいろと選考方法があるのですが、複雑になりすぎるので、ここでは割愛します。
残り男女1名ずつの選考方法
まずは、上記の大会の内
(1)世界選手権で7位以内の選手上位1名(五輪内定選手除く)
(2)オリンピック予選大会6位以内の選手上位2名
(3)アジア選手権優勝者
男女合わせて最大8名を選出します。(五輪内定選手を含めれば最大10名)
そして、この中で
(4)第3回コンバインドジャパンカップ
で、最上位選手男女1名ずつが選手がオリンピック日本代表に内定します。
ここでも、本当は開催国枠など細かい選考基準があるのですが、複雑でわかりずらいので割愛します。
国際スポーツクライミング連盟の新解釈
上の説明でいくと、オリンピック日本代表選考方法は
- 世界選手権の最上位選手男女1名ずつ
- いくつかの大会で良好な成績を収めた選手の内、コンバインドジャパンカップの最上位選手男女1名ずつ
簡単に説明するとこのようになります。
しかし、国際スポーツクライミング連盟が選考基準の解釈を突然変更し
世界選手権7位内に入った上位男女2名ずつ
と発表され、すべての枠が世界選手権で埋まることとなってしまいました。
現在の状況
本来ならば、
世界選手権最上位の楢崎智亜、野口啓代が内定。
そして、世界選手権とオリンピック予選大会 を通じて
男子 原田 海 藤井 快 楢崎 明智
女子 野中 生萌 伊藤 ふたば 森 秋彩
が候補として選出されたため、第3回コンバインドジャパンカップ で最後の1枠をかけて争うはずでした。
ところが、世界選手権上位7位以内の日本人選手男女2名ずつがオリンピック日本代表に内定という国際スポーツクライミング連盟の発表により
男子 楢崎 智亜 原田 海
女子 野口 啓代 野中 生萌
の4名で内定が決まってしまいました。
各選手が最後の枠を狙って、残りの大会に向けて調整を続ける中でこのような発表があったため、絶望した選手もいたでしょう。
これを受けて、日本山岳スポーツクライミング協会( JMSCA )は スポーツ仲裁裁判所 (CAS)に提訴し、現在も続いています。
2020年4月1日にCASで聴聞会があるので、そこで何らかの進展があると見込まれますが、オリンピック直前ということもあり、選手のためにも一刻も早くはっきりとさせてほしいところです。