数多くのプロクライマーが愛用したあの名靴ソリューションが生まれ変わりました。野口啓代選手も「自分にとってのベストシューズ」と言っています。
以前のソリューションはベルクロが切れやすかったり、トゥラバーの耐久性が低かったりと不満な点もありましたが、今回生まれ変わったソリューションの性能はいかほどでしょうか。
靴選びについてよくわからないという方は、別の記事で詳しく説明しているので、そちらをご覧ください。
材質
素材 | スェードレザー |
ソール | ビブラムX2ブリップ2(3.5mm) |
重量 | 255g |
実物を触った感想
カラーが一新されてよりシャープな見た目になりました。
以前のソリューションと変わった点は、トゥラバーのデザイン変更でしょうか。
以前のトゥラバーは、使い込むうちにはがれてしまって全く使い物にならなくなってしまっていましたが、今回はどうでしょうか。
あとは、ヒールカップが少し小さくなったかなという印象で、他はカラーの変更以外にあまり変わったという印象は受けません。
公式ではベルクロが以前より太く頑丈になったと言っておりますが、相変わらず細いベルクロです。これもすぐに切れてしまうでしょう。
幅は細めなので、足幅が広い人には合わないと思います。
私は細いので丁度良かったです。
足首に当たる位置に厚手のメッシュ素材が使われているため、剛性の高い造りになっているにもかかわらず、足入れは非常に良いです。
そして、足の形に合わせてアッパーが作り込まれていて、 締めつけるというよりは 足全体を包みこみギュっとフィットしてくれます。多くの靴を履いてきましたが、これほどのフィット感は他の靴にはありません。
ソールは ビブラム X2グリップ2
柔らかめですが、適度な硬さと粘りのあるソール、ビブラムX2グリップ2です。
どちらかというと柔らかめなソールなので、主にジム用になるかと思います。
外岩で履いている方もみかけますが、消耗は非常に早いでしょう。
適度な硬さもあるので、スラブもこなせる性能がありますが、粘りのあるソールとダウントゥしていることからも、やはり傾斜壁で充分な性能を発揮することが出来ます。
硬さと柔さ、粘りのバランスが非常に良いジム向けのソールです。
ダウントゥはかなり強め
靴全体が強烈に足にフィットすることもあり、ダウントゥはかなり強いです。
また、スポルティバ独自のP3システムという、長期間ダウントゥの形状を維持するシステムが使われています。
実際、ダウントゥは時間の経過とともにフラット寄りになってしまうものですが、ソリューションはダウントゥを維持している期間が長いです。
まさに強傾斜を登るためのシューズで、ソールの硬さと粘りも相まって強傾斜でも足元は非常に安定します。
ターンインは標準的
ターンインはそれほど強くないです。
靴自体の剛性が高く硬いため、変形しずらく、足の中指が長い人は痛く感じるかもしれません。
私の場合は、親指と人差し指が同じ長さですが、痛みなど感じることなく履くことができましたので、親指が長い人も問題なく履けると思います。
ヒールカップは特徴的な一体型
ヒールカップはソリューション独特の一体型です。
以前のモデルよりもヒールカップは少し小さくなりました。
球体のヒールカップで非常に剛性が高く、つぶれないので、いかにヒールを密着させてフリクションを発揮させるのかがネックになります。
どの方向からでもヒールフックを効かせることができるので、ヒールフックのムーブそのものが変わるかもしれない画期的な形状です。
ただ、剛性が非常に高いため、小粒なホールドにヒールカップをつぶして密着させて乗ることはできません。この点は以前のモデルから賛否両論ありましたが、若干ヒールカップが小さくなったことで改善されています。
小さなホールドにヒールフックするのは苦手ですが、それ以外であれば、柔らかめのソールと剛性の助けもあり何でも行けます。
トゥラバー改善されて非常に良い
以前のモデルのトゥラバーは本当に酷いもので、ラバーが完全にはがれてしまって使い物にならなかったのですが、今回のモデルはその点が改善されています。
トゥラバーがはがれなくなったことは当然の改善ですが、凹凸がついていることと、若干柔らかくなったことにより密着性が上がりました。
トゥラバーの面積も十分で、よりトゥフックがしやすくなっています。
総合評価
以前のモデルから随所に改善がみられ、 特にトゥラバーとヒールカップの改善は素晴らしく、さらにスキがない靴に仕上がっています。
ソリューションの宿命というか、ヒールカップは好みが分かれ、ベルクロの脆弱さは、締め付け方式を考えれば致し方ないとは思います。
この性能を引き出すための仕様と割り切るしかなさそうです。
好みは分かれそうな部分もありますが、以前のモデルよりも明らかに性能は向上しています。数多くのプロクライマーが使用していることからも性能の高さを伺えますので、実際に履いてみて、足に合えば買ってしまって絶対に後悔はしないと思います。