クライミングシューズの選び方

クライミングをする上で、クライミングシューズは課題の成否を分ける重要なアイテムですが、膨大な種類があり「どの靴を選んだらいいのかわからない」という方もいると思います。

クライミングシューズの型は、いくつかの要素に分解することが出来るので、その要素を一つずつ説明しながら、最適な靴選びのお手伝いをしたいと思います。

靴の型の種類

クライミングシューズには型が存在するので、まずはその型を説明します。

① ノーマル

普段履いている靴に近い形

〇利点は普段履いている靴に近いので履きやすいことと、アウトサイドでホールドに乗りやすいこと。

×欠点は親指が長い人には、親指が靴に当たって痛くなる。
また、上級者用の靴になると種類が少なくなる。

②ターンイン

親指に向かって靴がとがっているタイプ。

〇利点は親指に力を入れやすいので、小さいホールドに足を乗せやすい。

×欠点は普段履く靴とは型が違うので、窮屈に感じる。また、アウトサイドでホールドに乗りにくくなる。

かかとの形

クライミングシューズのかかとの形は大きく分けて2種類あります。
日本人のほとんどはフラットな形をしています。
自分のかかとの形にあうものを選ぶと良いでしょう。

①フラットなタイプ

②尖っているタイプ

自分の足型を把握しよう

自分に合った靴を選ぶには、自分の足型を把握しましょう。

指の長さ

①親指が一番長い

ターンインの靴に合っている合っている足型。
逆にノーマルタイプの靴だと親指が窮屈に感じる。

②親指と人差し指が同じ

ターンイン、ノーマルの靴どちらも履ける。
どちらが極端に合っているという事もないが、逆にどちらが全然ダメという事もない平均的な足型。

③人差し指が一番長い

ターンインの靴は、人差し指が靴に当たって痛い。
ノーマルタイプの靴かターンインが緩やかな靴を選んだほうが良い。

足の幅

足の幅は広い人と細い人もいます。

クライミングシューズも広い靴と細い靴があり、合わない靴を選んでしまうと、きつかったり、逆にガバガバだったりするので、自分がどちらなのか把握しましょう。

靴底の形

靴底は以下の3種類の形があります。

①フラット

〇靴底がフラットなため、傾斜が緩い壁やスラブなどでは、接地面積が広くなり滑りずらくなり、有利になる。

×傾斜が強い壁だと、ホールドを掻き込むことが出来ないので、足がホールドから離れやすくなる。

②ダウントゥ

〇つま先が下を向いて鉤爪のようになっているので、傾斜が強い壁の時、ホールドを掻き込みやすくなり足が剥がれづらくなる。
また、足の甲側のラバーが大きいものが多く、トゥフックに有利になる。

×垂壁やスラブでは接地面積が狭くなるので、滑りやすくなる。

③船底型

〇つま先が上を向き、船底の様な形になっているため、垂壁やスラブでは非常に滑りずらく有利。

×傾斜壁ではホールドを全く掻き込めない。垂壁やスラブ以外ではほとんど使われることがない。
ジムで見ることは全くなく、外岩で使われることがほとんど。

締め方の種類

締め方は以下の3種類。一長一短がありますが、好みで選んでもいいでしょう。

①スリッパタイプ

〇スリッパのように足を入れるだけで、締めるものが何もないので、非常に脱ぎ履きしやすい。

×脱げやすい。特にヒールフックをすると脱げやすい。
また、靴は次第に自分の足に合わせて伸びるので、一度伸びると締めて合わせることが出来ない。

②ベルクロ

〇マジックテープで留めるので、しっかり締まるし、脱ぎやすい。
ジムで最も多く見るタイプ。

×締めれる箇所がマジックテープの数によるので、緩い所が出てくることがある。
また、ベルクロが破損することがあり、セルフでの修理は困難。

③レースアップ

〇ひもで縛るので足全体にフィットする。
また、ひもが切れてもすぐに交換できるので、ベルクロタイプのように修理に出す必要がない。

×脱ぐにはひもを一度緩めなくてはならないので、脱ぐのが面倒。
ひもが足の甲全体を覆っているので、トゥラバーの面積がどうしても狭くなりがちで、トゥフックする時にひもが干渉する。

ソールの種類

ソールはクライミングシューズの命ともいえるほど最も重要な要素です。

ソールの種類によって、硬さやフリクション(グリップ)に大きな違いがあります。

硬いソールの特徴

硬いソールは小粒なホールドをしっかりと捉え、体重をかけても形を保っていられるので安定して乗ることが可能です。

スラブや垂壁で極小のホールドに乗るときや、外岩でのクライミングは極小のフットホールドが多く登場するので、ソールは固い方が良いです。

反面、硬い分足裏の感覚が鈍くなります。

あとどれくらいで足が滑るのか、きちんと乗れているかという感覚がわかりずらくなってしまいます。

柔らかいソールの特徴

柔らかいソールは、ホールドに密着するので滑りずらいです。

また、足裏に感覚が伝わりやすいので、きちんと乗れているかがよりはっきり感じ取れるようになります。
あとどれくらいで滑るのか、という感覚は、ソールのフリクション(グリップ)そのものよりも重要な場面もあります。

デメリットは、柔らかすぎると極小のホールドに体重をかけて乗るとき、ソールが形を保てずくにゃっと曲がってしまうことです。

技術ではどうにもならない問題なので、いかにこの点が重要かが分かると思います。

リソールについての記事に詳しく載っていますので、そちらを参考にしてみてください。

ソールの粘り

ソールの粘りとは柔らかさと似ているのですが、全く別物です。

柔らかさとは、ソールそれ自体の硬度ですが、粘りとはソール表面のフリクション(グリップ)です。

分かりやすく例えると、同じ素材でも表面がつるつるしたものと、ザラザラしたものではグリップが違いますよね。

ソールが硬くてもグリップが良かったり、その逆もあります。
クライマーが真っ先に見る点でもあるので、クライミングシューズを購入する際はよく吟味してください。

各メーカーのソールの特徴について別の記事がありますので、わからない方はそちらをご覧ください。

サイズの選び方

サイズ選びは最も難しいです。

まず、結論からいうと

初めて買うときは店で実際に履いて買う
親指がしっかり曲がっている
15分間はきつづけられそうか

を基準に決めればよいと思います。
こちらの記事で詳しく解説しています。

一般的にクライミングシューズは小さければ小さいほど良いと言われます。
小さい靴の方が小さいホールドにも乗りやすいというのは事実ですが、あまりに小さすぎると、痛すぎてクライミングどころではなくなってしまいます。

せっかく買ったはいいけど、痛すぎて他の靴に買い替えたという話はよく聞きます。実際、フリマアプリなどで売られている新品に近い靴は、そのような経緯で不要になった靴が売られているものがほとんどです。

また、ネットで買うのもオススメしません。
足型に合わないかもしれないので、必ず店で実際に履いて決めましょう。

靴下を履くかどうか

靴下は履かない方が良いと断言できます。

靴下を履かないほうが、ホールドを踏んだ感触がよりダイレクトに足に伝わるので、足の操作がしやすいです。

ただ、素足が靴と擦れて痛いと感じる方や、衛生的に素足は嫌だと感じる方は、クライミング用の靴下が販売されていますので、試してみてはいかがでしょうか。

まとめ

今回は、クライミングシューズの選び方を説明しました。

ご自分の足型や、どんな壁を登りたいのか、登りたい課題には何が必要かなどによって選ぶ靴が変わりますが、各社とても良い靴を出していますので、サイズ選びさえ間違わなければ、それほど後悔することはないと思います。

悩み過ぎず、たくさん試着してみて、好みのものを選べばよいと思います。