プロテインとアミノ酸の違い

過去の記事で、ボルダリングに限らずスポーツの後には、カロリーを抑えつつ、効率的にタンパク質を摂取できるプロテイン(プロテインパウダー)をがオススメだという話をしました。

しかし、プロテインの他にもボルダリングの前後に飲む事によって、パフォーマンスを強化するものがあります。

それはアミノ酸です。

プロテイン=タンパク質だという事を知っている方は多いと思います。

しかし、アミノ酸の事は聞いたことがあっても、プロテインとの違いについて詳しい方は少ないのではないでしょうか。

今回は、そのアミノ酸とプロテインの違いについて解説します。

アミノ酸とは

プロテインとは、主に筋肉を構成するタンパク質の事ですが、アミノ酸とは

そのタンパク質を分解したもの

です。

つまり、数種類のアミノ酸が集まってタンパク質を構成しています。

必須アミノ酸と非必須アミノ酸

タンパク質は20種類ものアミノ酸で構成されています。(タンパク質を構成するアミノ酸以外のものを含めると80種類以上ものアミノ酸がある)

そのうち9種類のアミノ酸は体内で作ることが出来ないため、外部から摂取しなければならないことから必須アミノ酸と言われています。

残りの11種類は、体内で合成することが出来るため非必須アミノ酸と言われています。

この20種類のアミノ酸の組み合わせで、筋肉に使われるタンパク質になるのか、内臓に使われるタンパク質になるのか、骨や他の部位に使われるのかが決まります。

必須アミノ酸

  • ロイシン
  • バリン
  • イソロイシン
  • トリプトファン
  • リジン
  • メチオニン
  • フェニルアラニン
  • スレオニン
  • ヒスチジン

非必須アミノ酸

  • アルギニン
  • チロシン
  • グリシン
  • グルタミン
  • グルタミン酸
  • アスパラギン
  • アスパラギン酸
  • システイン
  • アラニン
  • セリン
  • プロリン

アミノ酸スコア

アミノ酸がタンパク質を構成しているという事は、1種類のアミノ酸を摂取してもタンパク質は合成されないということです。

つまり、数種類のアミノ酸をバランス良く摂取しないとならないということになり、食品に含まれる必須アミノ酸のバランスを評価したものを

アミノ酸スコア

と呼びます。

アミノ酸スコアは100が最高値で、100に近いほど良いとされ、「良質なタンパク質」とよく聞く食品は、このアミノ酸スコアが高い食品の事です。

ちなみに、大豆、鶏肉、鯵、鶏卵、豚肉、鮭、牛乳、牛肉のアミノ酸スコアは100、白米は65、トウモロコシは32と偏っているため、バランスの良い食事が必要になりますが、これらの食品だけで必要量のアミノ酸を摂取しようとするのは大変なのでサプリで補助します。

アミノ酸の効果

体を構成するアミノ酸は20種類あると先に説明しましたが、アミノ酸はタンパク質の材料になるだけでなく、個別に効果があります。

代表的なアミノ酸のサプリは、定番のアミノ酸の組み合わせがあるので、その一部をご紹介します。

BCAA

ロイシン、バリン、イソロイシンのことである。

聞いたことがある方もいるはず。

  • 運動中のパフォーマンスや集中力を高める。
  • 筋肉の分解を防ぐ。
  • 疲労の軽減や回復の促進

等の効果があります。

ボルダリングのように連続した運動をした場合の疲労感の軽減や、運動による筋肉の分解を防ぐことが出来るので、運動前や運動中に摂取する必要があります。

ただ、3種類のアミノ酸しか含まれていないため、BCAAだけでは筋肉になりません。

EAA

9種類の必須アミノ酸全てを含んだサプリのことです。

タンパク質を構成するアミノ酸を全て摂取できます。

タンパク質は体内に取り込んだ後、一度アミノ酸に分解されたあと吸収され、再びタンパク質に合成されます。

つまりタンパク質は、消化・吸収・合成という工程なのに対し、EAAは最初からタンパク質が分解されたものなので、消化が不要で吸収・合成という工程になることから、効率が良くすぐに吸収されるという事になります。

15gのプロテインとEAAを摂取した実験の結果、EAAの方が多くのタンパク質を合成されたそうです。

筋肉の合成に使われる必須アミノ酸を全て含んでいるので、筋肉の合成が効率よく行われます。

EAAは一度に大量に摂取すると、腸まで一気に達してしまい濃度が高くなりすぎる。そうると浸透圧を調整するため、腸に水分が大量に入り込み下痢を引き起こすことから、トレーニングの最中から少しづつ摂取するのが理想です。

EAAだけではだめなのか

BCAAに入っているアミノ酸は、EAAにも含まれています。

という事は、わざわざBCAAを買わなくてもEAAだけ買えば良いのではないかと思われますが、そうではありません。

BCAAとEAAをそれぞれ9g摂取した場合です。

BCAA9gと同じ量のアミノ酸をEAAで摂取しようとすると、EAAはこの3倍摂取しなくてはなりません。

つまりBCAAとEAAは使い分けるべきなのです。

プロテインの効果

ここまで話すと、プロテインよりもアミノ酸の方が良いのではないかと思われますが、プロテインにもメリットはあります。

プロテインについて詳しくはこちら

過去の記事で、ホエイプロテインをオススメしましたが、これにはタンパク質だけでなく免疫物質を含むため、腸粘膜の損傷を防いだり抗ウィルス作用を発揮してくれます。

また、アミノ酸は大量に摂取すると下痢を起こしてしまいますが、プロテインを大量に摂取してもほとんど下痢にはなりません。

アミノ酸に比べて消化がゆっくりであることが理由で、食事の替わりや、睡眠中の筋肉補修など、ゆっくり吸収してほしい時に効果を発揮します。

アミノ酸とは吸収のタイミングが全く異なることから、併用して飲み分ける方もいて、それぞれの摂取タイミングは、非常にたくさんの方法があり長くなりすぎてしまうので、また次回解説したいと思います。

それになにより、同量アミノ酸よりも安価で、しかもおいしくて飲みやすいという利点があります。

クライマーにおすすめのアミノ酸

最近いろいろなボルダリングジムで見かけるようになったこちらのアミノ酸ですが、特にクライマ―向けに開発された商品です。

どちらもレモネード風味で飲みやすいです。

上で紹介した必須アミノ酸に加えて、疲労物質をたまりにくくする シトルリンとアルギニンがプラスされ、「フィジカルアップ」と、筋肉疲労と精神疲労からの回復「リカバリー」に重点が置かれています。

BCAAは、運動前(20分~30分前)を目安に1包、運動中(レスト時等)に1包

EAAは、運動30分前を目安に1包、運動直後に1包、がおすすめの摂取タイミングです。