今年は各メーカーから新作の発表ラッシュがあり、新作クライミングシューズの発売を心待ちにしている方もいるかと思います。
すでにいくつかのメーカーからは新作がリリースされ、使用中のシューズとの違いや、購入しようか迷っている方も多いはず。
そこで今回は、今年に発売された3つのクライミングシューズを実際に使用したり、画像を並べて比較したいと思います。
比較するクライミングシューズ
ラ・スポルティバ(La Sportiva) | ソリューションコンプ(Solution Comp) |
ラ・スポルティバ(La Sportiva) | セオリー(Theory) |
アディダスファイブテン(adidas FIVETEN) | ニューハイアングル(NEW Hiangle) |
シューズの幅とアッパーの比較
ターンインの違い
どのシューズも幅にそれほど違いはなく、同じに見えますが、ソリューションコンプとセオリーはターンインが強く、ニューハイアングルはノーマルに近いです。
トゥラバーの違い
トゥラバーは、ニューハイアングルは他の二つに比べてアウトサイドの面積が狭いので、トゥフックの状態から足を捻じってアウトサイドを使うようなシーンでは他の2つに劣るかもしれません。
両サイドからの比較
ソリューションコンプのアッパーは高さが薄い割に、足首がハイカットになっています。
ハイカットの部分は柔らかいメッシュ素材でつくられているため、足の動きを妨げる事はありません。
アッパー素材とフィット感の違い
アッパーの素材の使い方もフィット感もそれぞれ異なります。
ソリューションコンプは独特のベルクロ方式のため、メッシュ素材の面積が非常に大きいです。
メッシュ素材が多く使用されているためフィット感は劣りますが、薄めのアッパーと独特の4点留めのベルクロで締めるけることで足と一体になります。
セオリーのアッパーにはほとんどメッシュ素材が使われていないため、かなり硬いです。
アッパーも薄く、足を入れた時にアッパーが伸びないことから、素足との間に隙間ができません。
そのため、トゥフックなどをした時にふわふわとアッパーが動くことがなく、安定感が増しています。
ニューハイアングルは大きめのメッシュが採用されているため、非常に足入れが良く、気持ちよく履くことが出来ます。
加えて、トゥラバーの面積も他に比べて狭く、生地自体が柔らいため足には良くなじみます。
ソリューションコンプは足入れと使い心地を重視・ベルクロで締め付け。
セオリーは性能を重視・アッパー自体の硬さで締め付け。
ニューハイアングルは足入れと使い心地を重視・徐々に足になじませて使用。
ざっくり表現するとこのような感じになります。
セオリーはD-TECHを採用
セオリーは、インサイドとアウトサイドにノーエッジに近いシステムが採用されています。
フューチュラなどに採用されているノーエッジは、エッジ全体が丸みを帯びているのに対し、D-TECHは親指と小指の付け根だけが丸みを帯びています。
つま先に行くほどエッジが強くなるため、これまでのクライミングシューズのエッジの感覚を犠牲にすることなく、コーディネーションやスメッジング等、必要な時だけに使用できるような形状になっています。
ソールの違い
ソリューションコンプとセオリーは非常に似ており、どちらもターンインしていて、スリングの貼り方も同じ、ダウントゥの形状を長期間維持できるP3システムが採用されている点も同じです。
ソールは、ビブラムソールの中で最も柔らかい「ビブラムXSグリップ2」を採用しています。
同じソールを使用してはいますが、ソリューションのミッドソールはやや大きく、足の4分の1程度をカバーする大きさで、しっかりとコシがあるのでホールドへの力の入力がダイレクトになります。
セオリーのミッドソールは小さく、指先だけをカバーするように配置されているため、非常に柔らかいです。
そのため、スメッジングや、様々な方向からの力の入力をサポートするD-TECHを性能を最大限に生かすことが出来ます。
ニューハイアングルはわずかにターンインしており、ほぼノーマルの形状です。
ニューハイアングルに使われているソールは、ステルスソールの中で最も硬い「Stealth C4」、ヒールに使用されているのは硬さと粘りのバランスが良い「HF(ハイフリクション)」の2種類が使用されています。
「Stealth C4」は硬いですが、粘りに定評のあるステルスソールなのでフリクションは十分です。
ヒールカップの比較
ソリューションコンプは、以前までの球状のヒールカップではなく、太いベルトを張り付けたような標準的な形状のヒールカップになりました。
太さは標準的で、ヒールの両サイドに隙間なくラバーが配置されているので剛性が高く、しっかりと形状を維持してくれます。
セオリーは、ソリューションコンプと形状は同じですが、比べてみるとかなり細く、かかとが細い傾向にある日本人に適した形状と言えます。
ヒールの両サイドにはラバーが貼られていない箇所がわずかにあるので、ヒールフックした時にヒールカップがつぶれてしまう可能性もありますが、浅めのヒールカップであるため、かかとがフィットしやすく、あまり心配はなさそうです。
今回紹介したクライミングシューズのそれぞれの詳しいレビューはこちらをご覧ください。