ボルダリングジムで「ムーブを破壊した」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
この意味は、制作者が意図したムーブではない方法で課題を攻略した時に使われます。
私も、難解なムーブを要求される課題にトライしている時に、ついつい力でねじ伏せようとしてムーブを破壊してしまうことがあります。
これはこれで良い時もありますが、可能な限り正しいムーブ、正しいフォームでトライする事をオススメします。
今回は、ただ課題を攻略するだけでなく、「正しいムーブと正しいフォーム」でボルダリングすることの重要性について話します。
プロスポーツ選手も指摘
誰もが知っている、アメリカのプロバスケットボール選手のマイケル・ジョーダンがこんな言葉を残しています。
何事を成すにも、正しい方法と間違った方法がある。
たとえば、毎日8時間シュートの練習をしたとしよう。
もし、間違った技術で練習を続けていたとしたら、間違った技術でシュートする名人になるだけだ。
また、一時日本で流行した経済学者のドラッカーは
全くするべきでないことを能率的にする。
これ程無駄なことはない。
ボルダリングに当てはめてみれば、間違った方法でトレーニングをしても真価は得られないということです。
正しいムーブとフォームの重要性
ボルダリングジムで、課題の作成者の意図を読み取ることが出来ず、若しくは面倒で、手順を飛ばしたり、ムーブを破壊したりする光景が良く見られます。
私自身もやってしまいがちな事ですが、私はムーブを破壊して完登したとしても、必ず制作者が意図したであろうムーブで登り直すことにしています。
趣味でやっているし完登できればいい、と考える方もいるかもしれませんが、より上のグレードを目指す方のために、その理由について説明します。
苦手なムーブを克服できなくなる
しっかり足をきめてスタティックに次の手を取りに行くべきところを、キャンパで行ってしまう。
引き付けてしっかり固めて行くべきところをランジしてしまったり、その逆をやってしまう。
これらのムーブは製作者の意図とは違い、自分の得意なムーブを選択したという事。
逆に言えば、苦手なムーブを排除してしまう行為になってしまいます。
今はその方法で完登できるかもしれませんが、もし苦手なムーブが必然である課題が登場したら、その課題を克服することは非常に困難になってしまいます。
変な癖がつく
ボルダリングは良く男女の登り方の違いについて、「男性はパワーで登って、女性はしなやかに登る」という事がよく言われます。
つまり、なまじ力があると、運動神経に任せて力ずくで登ってしまうという事。
上達してきたという方も、もう一度、力任せになっていないか確認してみましょう。
ムーブで解決できるのに力ばかり使っていると、いざ足の使い方が重要になる課題にトライした時に、足まで意識が行かなくなってしまうかもしれません。
間違いを修整する方法
ボルダリングジムでは、トライのほとんどがムーブの確認と修整の作業です。
普段打ち込む課題で、間違いを修正していきましょう。
具体的には
- 一度完登した課題も本当にそのムーブで合っているか検証する。
- 体の使い方に改善すべき点はないか。(目線、肩、背中、脇、腰など)
- 他人のトライを参考にする。
- 動画で撮影してチェックする。
- 正しいムーブで再びトライする。
が考えられます。
是非、ウォーミングアップや余裕をもってできる課題でフォームをチェックしてみましょう。
最後に
競技者でもない限り、ボルダリングを続けている理由は「楽しいから」だと思います。
知り合いとセッションするのも楽しいし、何も考えず課題に打ち込むことも楽しいです。
しかし、時には自分自身の体と向き合って、じっくりとムーブとフォームを洗練させる時間を作ってみてはいかがでしょうか。