前回の記事では、ボルダリングの持久系能力と瞬発系能力を向上させるトレーニング方法について解説しました。
今回ご紹介するマックスパワートレーニングは、瞬発系能力を向上させるという目的では同じですが、より集中的に鍛え上げる内容になっています。
これまでのご紹介してきたトレーニングの中では、最も強度が高い内容になっていますが、その分トライ数が少なくなっているので集中して行うようにしましょう。
クライマーに求められる瞬発系能力や他の能力について詳しくは過去の記事をご覧ください。
マックスパワートレーニングとは
冒頭でも説明しましたが、マックスパワートレーニングとは瞬発系能力を向上させる最も効果的なトレーニング方法です。
これまでの紹介してきたトレーニング方法は、最大負荷をかけずに行うものでしたが、マックスパワートレーニングは100%の負荷をかけることで、瞬間的に動員できる筋肉を効率よく増加させることが出来ます。
また、人間は100%の力を出しきっているつもりでも、実際には70%程度しか出し切れていないと言われています。
そのため、前回紹介したビルドアップトレーニングによって向上してきた持久系能力と瞬発系能力に加えて、マックスパワートレーニングを行う事により、発揮できる力を100%に近づけるのが目的です。
強度
自分が出来る最高グレードの課題にトライします。
具体的には、90%から100%の高負荷のムーブが必要とされる課題が目安です。
トライ数
トライ数は空くななめにして、1本の強度を高くする。
これまで紹介してきたトレーニングの中で最もトライ数は少なくし、1トライの強度は最も高いです。
1セット3本~5本を3セット程度を目標にします。
頻度
強度が非常に高く1トライを全力で行う必要があるので、関節等に大きな負担がかかります。
筋肉以外の部位は回復に時間がかかるので、頻度は週に3日を限度とする方が良いでしょう。
休憩
課題と課題の間の休憩は非常に短時間で、10秒前後です。
課題を選んでいるとすぐに過ぎてしまうほど短時間なので、あらかじめ課題を決めて効率よく集中してトレーニングしましょう。
短時間で集中して最大筋力を出し切ることが目的のトレーニングなので、途中でレストしてしまわないように注意してください。
マックスパワートレーニングのポイント
このトレーニングを継続していると、トレーニングを開始した時よりも大きな負荷に耐えられるようになっていると思います。
そのため、同じ負荷の課題を継続しても最大の効果を得ることができなくなってしまいます。
トレーニングの後期は前期よりも、より負荷の大きな課題にチャレンジすることが最大の効果を得るポイントです。
マックスパワートレーニングの例
3~5週間の間でトレーニング前期と後期を分けていますが、違うのはトレーニングの強度だけです。
非常に強度の高いトレーニングですが、これまでご紹介してきたトレーニングと違って、短時間でレストも長いのでトレーニング終了後もそれほど疲労は感じないかもしれません。
それでもしっかり疲労は蓄積されていて、特に関節等への負担は非常に大きなものになります。
そのため、連日のトレーニングは怪我にも繋がるのでレストと体のケアは十分に行うようにしましょう。
上で紹介したトレーニングプランはあくまで例なので、前期はもう少しセット内のトライ数を減らしても良いかもしれません。
重要なことは、フレッシュな状態で強度の高い課題に集中してトライする事なので、それが守れていれば内容を変えても効果はあるでしょう。
最後に
前回紹介したビルドアップトレーニングは筋トレに近く、それなりの強度の課題を延々と行うようなものでした。
それだけに筋肉が肥大化し、ボルダリングの持ち味であるキレが一時的に落ちてしまうこともあります。
そこで、今回ご紹介したマックスパワーのトレーニングを実施することで、キレがもどります。
まずは、回復系のローカルエンデュランスからビルドアップへ進み、最後にマックスパワーのトレーニングにトライすると良いでしょう。
ローカルエンデュランスやビルドアップについてはこちらの記事を参考にしてください。