最大筋力を鍛えるべき理由とトレーニングのコツ

筋力には、出せる最大の筋力である最大筋力と、力を持続して出し続ける筋持久力の2種類があることは良く知られていることです。

クライミングにはいろいろな種類がありますが、ボルダリングに限って言えば最大筋力の方が重要だと言えるでしょう。

今回はその理由と、最大筋力を向上させるためのトレーニングのコツについてお伝えします。

ボルダリングには最大筋力が重要な理由

クライミングという競技は、長いルートを命綱で安全を確保しながら登るルートクライミングと、短い課題を登るボルダリングと の大きく2種類に分けられます。

ルートクライミングの場合は、長いルートを登る必要があるうえ、ところどころに核心(難所)があるため、最大筋力と筋持久力のバランスが重要になってくるでしょう。

しかし、ボルダリングの場合は、短い約5メートルの壁を多くても10手程度で登り切ります。

ルートクライミングよりもはるかに短い分、強度の高いムーブが要求されることから、最大筋力が重要になります。

最大筋力を上げれば筋持久力も上がる

意外かもしれませんが、最大筋力を向上させれば筋持久力も向上します。

昔はいっぱいいっぱいだった課題も、上達した今では楽に何度でも登れる、という経験をした方は沢山いると思いますが、筋持久力が向上した事で余裕が生まれ、持久力にも余裕が出来た分かりやすい例です。

逆に、筋持久力を向上させても最大筋力はそれほど向上しません。

最大筋力は100%の力を出し切った時に向上しますが、筋持久力は60%~80%の力を出し続けるトレーニングとなります。

余裕を持ってできる課題に沢山トライするのは意味がある事(ムーブの確認、筋持久力の向上等)ですが、自分ができる最高グレードよりも、1~2グレード下の課題をいくらやっても、最高グレードを更新できないというのは容易に想像できるでしょう。

もちろん、筋持久力を向上させる事が目的で、それを向上させる為だけのトレーニングに比べれば効果は劣りますが、ボルダリングにおいては筋持久力を向上させるトレーニングの方が適していると言えるます。

長時間トレーニングのデメリット

トレーニングは長い方が良いと思っているクライマーもいます。

ボルダリングを楽しみたい、セッションしたい等であれば、楽しい時間は長い方が良いでしょう。

しかし、グレードを更新したいのならば、長時間トレーニングする事は間違いです。

トレーニングの質が低下する

最高グレードを更新するには、最大筋力の向上が欠かせません。

長時間トレーニングする事、言い換えるならば、「長時間トレーニングできる」という事は、それだけ力を出し切っていないという事になります。

最大筋力の向上には力を出し切ることが不可欠なので、長時間のトレーニングは質の低下を招きます。

トレーニングの頻度が下がる

長時間のトレーニングは疲労が蓄積しやすく、回復に時間がかかります。

しかも、長時間トレーニングするのは根気がいることなので、モチベーションを維持しにくくなるというダブルパンチ。

つまり、トレーニングの頻度が下がります。

怪我する恐れがある

長時間のトレーニングは、集中力が低くなり、疲労が蓄積します。

この事で、フォームが崩れたり、不用意な落ち方をしたりする危険があり、怪我をする可能性が高くなります。

上達しにくい

グレードの更新には最大筋力の向上が欠かせません。

上でも説明しましたが、長時間トレーニングしても持久力は向上しますが、最大筋力はほとんど上がりません。

つまり、長い時間をかけるのに上達しないという、割に合わないトレーニングになってしまいます。

最大筋力を向上させるコツ

RM法

フィットネスの業界ではよく知られていることですが、トレーニングの目的によって、RM法というやり方でメニューを決めます。

それが以下の表になります。

目的負荷1セットの回数
最大筋力のアップ100%~87%1回~5回
筋肥大85%~67%6回~12回
筋持久力65%~60%15回~20回

主にウェイトトレーニングで使われ、ボルダリングには1セットという考え方はないので、最大筋力を向上させたいならば、100%の負荷で1回登る方法が効果的となります。

常にフレッシュな状態で

ボルダリングは、何度もトライしていると当然ヨレてきます。

しかし、最大筋力を向上させるには100%の力を出し切らなければならないので、ヨレていてはそれが出来ません。

これを解決するには、トライ数を減らして休憩を長く取るしか方法はありません。

休憩中も体を冷やさないようにダイナミックストレッチを行うなどして、次のトライで100%の力を出し切れるように準備をしましょう。

短時間で集中してトレーニングする

トライ数が少なくなれば、当然1日のトレーニングの時間は短くなります。

今まで4時間していたものが、急に2時間になったりすると、不安になるかもしれませんが、短時間で力を出し切ってトレーニング出来ていればそれで大丈夫です。

トップクライマーの中にも、1日2時間の練習を週に3~4回の選手がいます。

重要なのはトレーニングの長さではなく、正しいトレーニングの方法なのです。

最後に

今回は、最大筋力を向上させるためのトレーニング方法についてお伝えさせていただきましたが、ボルダリングはこれだけが全てではありません。

セッションしたり、フォームの確認のためにグレードを下げてトライしたり、課題を作ってみたりするのも良いでしょう。

楽しむ事もモチベーションを維持する一つの方法なので、集中してトレーニングする時とそれ以外の時のバランスを取りながらボルダリングを続けていきましょう。