クライミングの後に必ず行うべき「静的ストレッチ」

クライミングの前後にストレッチをすべきというのは、クライマー全員の認識だと思います。

しかし、クライミングの前後にきちんとストレッチをしているクライマーは意外と少ないように感じます。

今回は、クライミングの後に絶対行うべき「静的ストレッチ」の具体的な方法について解説します。

動的ストレッチと静的ストレッチ

ストレッチには体を動かしながら行う「動的ストレッチ」と、じっくりじんわりストレッチする「静的ストレッチ」の2種類があります。

動的ストレッチは体を動かしながら行うため、体を温めながら行うことができることから、運動の前に行うことが向いているといえます。

静的ストレッチは、じっくりじんわり体をストレッチするため体が冷えてしまいます。

ストレッチ自体の効果は静的ストレッチの方が高いものの、体が冷えてしまっては、突然クライミングを始めたときに、ストレッチして伸び切った筋肉や靭帯が損傷してしまう可能性があります。

そのため、静的ストレッチはクライミング後に行うことが適切と言えます。

今回はこの静的ストレッチについて解説します。

動的ストレッチについては、別の記事で説明していますので、そちらを参考にしてください。

静的ストレッチを行うタイミング

静的ストレッチは体が冷えてしまうため、クライミングの後に行うことは前述の通りです。

他にも、体が温まっているお風呂上りに行うと、筋肉の柔軟性が増しているので怪我をしにくく、効果も実感しやすくなります。

静的ストレッチのポイント

  • 呼吸を止めない
  • 伸ばすべき個所をしっかり意識する
  • 反動をつけない(反動をつけると大きな負荷がかかり怪我につながる恐れがある)
  • 様々な方向に伸ばす(同じ姿勢でもつま先や指先の向きを変えることで違う筋肉を伸ばすことができる)
  • 20秒づつ向きや角度を変えて行う

具体的な静的ストレッチの姿勢

指・腕のストレッチ

指と腕をストレッチすることで、指がスムーズに動くことになり様々なホールドに指をフィットさせることができる。

また、前腕をストレッチすることはパンプしにくい前腕を作ることができる。

肘を曲げた状態で、手首を最大まで反ってから、指を付け根から反らせる。

手のひらを床につけ、指先は内側に向ける。

手のひらが浮かないように注意する。

腕を伸ばして指先を下に向ける。

この時、指が曲がらないように注意する。

指先を様々な方向に向けることで、他の筋肉をストレッチすることもできる。

指・腕のストレッチ②

手の甲を前に、指先を下に向けて腕の外側をストレッチする。

指先をいろいろな方向に向けると、より効果が期待できる。

床に手の甲をつけて、指先を内側に向ける。

肩甲骨のストレッチ

肩甲骨は、腕とボディーを重要な役割を持っています。

肩甲骨の柔軟性が改善されると、力が効率的に伝わり腕や指への負担が軽減されます。

また、遠くのホールドを保持するときに力を入れやすくなります。

胸の前で手を組み、前に突き出す。

肩甲骨を伸ばす事を意識する。

肘を抱えて伸ばす。

体が回らないように注意する。

対角線の足首持って、膝を伸ばしていく。

肩甲骨ごと伸ばす事を意識する。

胸のストレッチ

クライマーは方が体の前にでて猫背になっていることが多いです。

猫背になると姿勢が悪くなり、胸の可動域が狭くなりリーチや体の連動に支障が出てしまいます。

背中側で手を組んで胸をそらせる。

呼吸は止めないように注意する。

頭の上の壁に手をついて、体を外側に回転させる。

手の位置を上・下の2方向にすることで、ストレッチされる部位が異なる。

肩の横

お尻のストレッチ

ハイステップが苦手な人はお尻の筋肉が固くなっている可能性が高いです。

お尻の筋肉が固いと、足を上げたときに姿勢が崩れてしまい、正しいフォームで登ることができません。

胸の前で足を組んで、胸に足を引き付ける。

うまくできない人は天地を逆にすると良い。

足を前後に開いて、前足の膝を90度曲げる。

できるだけ体を前に倒す。

背中と腰のストレッチ

背中や腰の柔軟性が向上することで、背骨や骨盤の動きが改善され、背中のS字カーブを良い状態に保つことができます。

また、筋肉のこわばりが原因の腰痛の場合、柔軟性を向上させることで痛みを軽減することができます。

足を交差させて、体をねじる。

足が動かないように腕で抑える。

四つん這いになり、腕をできるだけ前に突き出す。

背中をしっかりストレッチするイメージで。

お腹のストレッチ

お腹の筋肉は胸や背中に繋がっています。

お腹の柔軟性を向上させれば、胸や背中の動きも改善されることに繋がります。

また、胸の動きをよくすることは呼吸を改善することにも繋がります。

うつ伏せになり肘を立てる。

うつぶせになり、肘を伸ばす。

足を開いて座り、体を倒す。

前もものストレッチ

ももの筋肉が硬いと、ハイステップがしにくくなります。

また、足を上げたときに腰の位置が動くため、姿勢が崩れてしまいます。

仰向けになり膝を曲げる。

大きく前に踏み出す。

大きく前に踏み出した姿勢から後ろ足を持つ。

うしろもものストレッチ

足を高く上げると体が丸まり、姿勢が崩れてしまいます。

うしろももをストレッチすることで、姿勢が崩れるの防ぐことができます。

また、より遠くまで足が届くようになるのでムーブの幅が広がります。

足を開いてつま先を持つ。

できない時は足首を持つ。

つま先の向きを変えると、いろいろな筋肉をストレッチすることができる。

うちもものストレッチ

うしろもも同様、内ももの柔軟性を向上させることで、足が横に開きやすくなります。

両足の足裏をつけて座り、体を前に倒す。

両足を開いて体を前に倒す。

足首のストレッチ

足首が柔らかいほど、フリクションを効かせて立つことができます。

ランジの時など、足首をつかって勢いをつけるムーブの場合、より勢いをつけることができます。

正座から片足を出し、体重を前に乗せていく。

かかとが浮かないように注意する。

自分が必要と感じるものだけでも

今回紹介したものをすべてきちんと行うと1時間くらいかかってしまいます。

プロのクライマーほど、クライミング以外の部分も念入りに行っているものですが、一般のクライマーはそれほど時間がないのも事実です。

ですから、すべてを行うのではなく自分に必要なものだけでも行うようにして、クライミング後に30分くらいはストレッチを欠かさず行うようにしましょう。