ボルダリングと切り離せない炎症とは

ボルダリングをしていて指が痛くなる原因はこの炎症であることはよく知られていますが、炎症とは一体何なのか理解していない方も大勢いると思います。

私自身も完全には理解していないため、今回記事を書くにあたりもう一度よく調べてみました。

指の痛みに不安を抱えている方や、適切な対処法を知りたい方のために、クライマーのための炎症の原因と対策について解説します。

炎症とは何か

炎症とは、打撲、外傷、病原体侵入、化学物質刺激等による刺激によって受けたダメージを回復するための防御的なものです。

炎症の症状としては、4つ

患部が赤くなる
血流の増加が起きることで生じる。
治癒に必要な物質供給と除去を活性化させる。

痛みを生じる
異常の生じたことを認知して防御や治癒のための行動を起こす。
休養しようとしたり、患部をかばう等。

発熱する
白血球が発熱物質を作り出すことで引き起こされる。
高い温度下で、体を補修する機能は増大する。

腫れる
血流が増大することで生じる。
組織と血流間で物質交換が活発になる。

いずれも患部を早く治癒させるための体の防御反応で、必要だから体がやっている事です。

クライマーに多い指関節の痛みと、動かしにくい症状の原因は炎症を起こしているから。

体が異常を察知したから、痛みを出し、血流が増え腫れているから動かしにくくなっています。

炎症の原因

腱鞘炎(けんしょうえん)

クライマーに多い炎症する部位は、指を酷使する事による腱鞘の炎症です。

手の構造
指の構造

腱は腱鞘(けんしょう)という鞘に包まれていて、靭帯性腱鞘によって骨とくっついていますが、指を酷使し過ぎるとこれらが擦れて損傷します。

これが炎症を引き起こす原因になります。

クライマーの場合、カチ持ちが指への負担が特に大きいので、この持ち方を多用する方は炎症を起こしやすいと言えるでしょう。

悪化すると痛くて曲がらなくなり、クライミングにも影響が出てきます。

変形性関節症

炎症とは違いますが、指を曲げた状態で、カチ持ちの様な大きな力を使うクライマーによくある症状で、関節部分にある軟骨が、度重なる力によってすり減りつぶれていきます。

それにより骨の形も変わってきて、曲げ伸ばしの際に可動域一杯に曲がらなくなるという症状が出ます 。

可動域が狭くなることで、保持力を100%発揮することが出来なくなります。

炎症への対策

上で説明しましたが、炎症とは体の損傷に対する防御反応であり、それ自体は悪いことではありません。

しかし、血流の増加による腫れが、患部の周りの細胞を圧迫して血流を阻害します。

その結果、健康な細胞までも酸欠で破壊してしまうので炎症を抑える必要があります。

アイシング

炎症を抑えるにはアイシングが効果的です。

可能な限りクライミングの直後に行った方が効果的で、アイシングをして炎症を抑えた後、暖めたりマッサージをして血流を良くすると、治癒に必要な物質供給と除去が活発に行われます。

アイシングとマッサージの方法はこちらに詳しく書いてあります。

テーピング

もし、痛みが出てしまった場合はテーピングが効果的です。

曲げると痛い場合は曲がりすぎないように固定するなどして、指の動きを制限します。

テーピングの方法はこちら。

レストが基本

プロのクライマーほど、レストの方法も上手です。

体に異常を感じたら、レストをするのが基本で、1日で2時間までしかトレーニングしないプロクライマーもいます。

ボルダリングできないと、グレードが落ちないか不安になったりしますが、体を休めることで本来の力を発揮できるようになり、怪我も防ぐことが出来るので休むことも大切なトレーニングの一つと捉えましょう。

最後に

指はクライマーにとって命です。

だらだらと1日何時間もボルダリングをするのは指への負担を増やすだけなので、短時間でも集中することが大切です。

もし、体に異常を感じたらすぐにボルダリングを中断して治療に専念しましょう。

怪我した直後に適切に処置することで、治癒も早まるので、絶対に登り続けてはいけません。

怪我が悪化すると、日常生活にも支障が出てくるので適切にケアしていきましょう。