保持力のトレーニング方法とコツ

ボルダリングにおいてテクニックはとても重要で、力ではなくて足と体をうまく使って登ると言われることもあります。

確かに、テクニックやコツも大切ですが、保持力があれば大抵の課題をもっと簡単にできてしまいます。

ここでは、保持力を向上させるためのトレーニング方法や、ボルダリングする時のコツを解説します。

トレーニングについてより詳しい説明はこちらもご覧ください。

保持力とは

保持力と握力は似ているようで全く違います。

握力は握り込む力、前腕の筋肉の力です。

対して、保持力とは指の形を保つ力の事で、筋肉ではなく、指とそこから延びる腱の強さが重要になります。

体は健と筋肉からできていて、筋肉が収縮して体を動かし、腱がそれを支えていています。

腱が弱い人は手の形を作っても、腱でその形を支える事が出来ずに崩れてしまうか、痛みに耐えきれずに手を放してしまうでしょう。

ボルダリング上級者をは握力がすごくあると考えている方も多いですが、握力はボルダリングにおいてそれほど重要ではなく、握力が30kg以下の女性プロクライマーもいます。

また、ボディービルダーの様に前腕がムキムキで、いかにも握力がありそうな人よりも、細くて握力がなさそうな女性の方がスイスイ登れているというのを見たことがあるかもしれません。

つまり、鍛えるべきは筋肉ではなく腱の方なのですが、健は筋肉に比べて強くなるのが遅く時間がかかるので、怪我に十分注意してトレーニングをする必要があります。

保持力の重要性

行き詰ったらとりあえず登り込んでみる

ボルダリングをしていてあるムーブができない、保持できないホールドがあるとしたら、どの様なテクニックとコツが必要なのか、ムーブは合っているのかを考えると思います。

テクニックは突き詰めると非常に繊細で、特にクライミングのフォームは自分でチェックすることができないため、自分を動画で撮影してフォームをチェックするなどして長期的に取り組むしかありません。

保持力はとにかく課題を登り込めば自然と身に付くうえに、ある程度テクニック不足でムーブが雑になっても解決できてしまう場合も多いです。

ただ、無計画に登り込んで怪我をするのだけは避けましょう。

保持力があるとフォームを気にする余裕が生まれる

難しい課題なのに、楽そうに登っている上級者を見たことがあると思いますが、上級者は保持力が十分あるので、重心移動をする余裕があるから楽に登っているように見えます。

これは、保持力が十分だと重心移動がうまく出来て、次のホールドを取りに行くための体勢を作れることに加えて、次のホールドを取った時もがっちり保持できるのでムーブに余裕が生まれるためです。

つまり、単純にホールドをがっちり保持できるだけでなく、重心移動がうまく出来て体全体の動きも良くなるため、保持力の向上には大きなメリットがあるという事です。

保持力のトレーニング方法

ホールドはオープンハンドで持つ

オープンハンドとはホールドの持ち方の一つです。

主にカチホールドを持つときに使われることが多いです。

カチ持ちは人差し指に親指を添えて、指を立てて保持しています。

対して、オープンハンドは指を寝かせて保持して、親指は離れていて、親指はホールドに添えてもいいです。

カチ持ちとオープンハンドの違いは、指を立てているか寝かせているかです。

カチ持ちは力を節約できますが、その分、指の骨や腱に大きな負担がかかるため、怪我の原因になることもあります。

オープンハンドはその逆で、指の力を使う反面、骨や健への負担は少ないです。

カチ持ちをしてもオープンハンドは強くなりませんが、オープンハンドをすることでカチ持ちも強くなると言われているため、普段からなるべくオープンハンドを意識して、いざという時にカチ持ちをするようにしましょう。

オープンハンドで保持力が向上する

上でも説明しましたが、カチ持ちは力を節約して保持するのに対し、オープンハンドは力を使って保持します。

つまり、カチ持ちではトレーニングにならない部位を、オープンハンドでは鍛えることが出来ます。

そればかりか、オープンハンドする時に親指をホールドに添えて摘まむように保持すれば、カチ持ちよりも強力に保持することが出来ます。

オープンハンドはカチホールドだけでなく、ポケットやピンチ等あらゆるホールドで保持することが出来るので、普段からカチ持ちよりもオープンハンドで登る癖を付けましょう。

こんなホールドでもトレーニングできる

ポケットやスローパーでも自然とオープンハンドのトレーニングになります。

ポケットは指を怪我しやすいので無理をしすぎないようにしましょう。

スローパーは非常に持ちづらく、トレーニングにはうってつけです。
手のひら全体で保持する方法もありますが、指先に力を込めて、手の平は軽く触れているだけの状態で保持するのがコツです。

保持力のトレーニングのために、オープンハンドを使うホールドでオリジナルの課題を作ってみるのもオススメのトレーニング方法です。

私も実際、オリジナルの課題を作ってトレーニングしていますし、他の上級者も同様にしていることも多いです。

懸垂は最高のトレーニングの一つ

ジムで一通りクライミングを終えた後の最後の追い込みや、自宅でトレーニングをする時に、懸垂をするのもオススメです。

ジムで行う場合は、専用のトレーニング機器がない場合は、人がいない壁の適当なホールドで懸垂をしてみましょう。
出来るだけ持ちづらく、オープンハンドで保持できるホールドがよいです。

自宅で行う場合は、専用の器具やぶら下がり健康器、梁などの適当な突起で懸垂をしてみましょう。

懸垂は最高のトレーニング方法で、保持力だけでなく、背筋や肩回り等全身を鍛えることが出来ます。

負荷が足りないと感じたら、足を90度に保ったまま懸垂してみたり、逆に負荷を軽くしたいならぶら下がるだけでも効果はあります。

注意すべきポイントは、ガバ等持ちやすいホールドでは保持力ではなく握力のトレーニングになってしまう事と、オープンハンドで保持しなくては意味がない事です。

成果⇔トレーニングの好循環が出来る

人間にとって、成功体験とはモチベーションを維持する重要な要素の一つです。

努力してきた事で成果が出れば、トレーニングを続ける気力が維持でき、また結果を出せるチャンスが生まれます。

ボルダリングの良いところは、この成果がグレードの向上やムーブの解決という目に見える明確な結果として現れるところです。

成果が出ればボルダリングがもっと楽しくなるので、是非トレーニングを始めてクライミングライフを楽しんで下さい。

他のトレーニング方法や、トレーニングを続けるコツについては過去の記事を参考にしてみてください。